2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 サトーホールディングス 小沼宏行社長

ICタグで全商品可視化

廃棄物の再資源化にも応用

 バーコードやRFID(無線周波数識別)などの自動認識デバイスで情報を集める自動認識ソリューションを柱に、国内46拠点、海外75拠点で事業展開している。25年3月期中間決算は国内海外ともに増収増益となり、中間期として過去最高となった。

 国内では、製造業を中心にDX投資が活発化し、需要を捕捉できつつある。25年もこの傾向は続くと期待している。海外でも、製品のライフサイクル情報を記録するデジタル製品パスポート(DPP)が欧州で広がるなど当社のソリューションの需要が高まりつつあり、手応えを感じている。

 米ウォルマートが、サプライヤーに小売製品にもRFIDタグの導入を義務付けたことで大きなうねりが生まれた。こうしたベンダーマーキングの動きは世界中に広がり、日本でも関心が高まりつつある。

 これまでは、大量生産される商品にはJANコードが直接印刷され、棚の商品には全部同じバーコードが付いていたが、RFIDなどのICタグを使えば全てに違うIDが付与され、一つ一つを管理、追跡できるようになる。当社では「パーフェクト・アンド・ユニーク・タギング」という高度なタギング(タグ付け)技術として提唱している。

 各タグが固有のIDを持てば、タグの読み取りや情報処理が自動化でき、サプライチェーンから末端の消費者まで全体の情報がトレース(追跡)でき、商品管理の効率化が可能になる。自動認識技術を物流や生産システム、マーケティング情報にも生かせるようになり、店頭の商品が売れなかった場合に、棚の位置に問題があったのかといった検証もできる。

広いニーズに対応

 当社は、商品に値札を付けるハンドラベラーの製造から発展し、自社でICタグなどのラベルプリンターも手掛けており、バーコードからICタグやセンサーまで幅広いニーズに対応できるのが強みだ。

 RFIDで血液バッグをシリアル管理し、サプライチェーン全体で追跡できる血液製剤管理システムなど、多分野で応用できる。

 サーキュラー(循環型)ソリューションにも着手した。パートナーと連携して、廃棄物や使用済みリチウムイオン電池の循環に向け、廃棄物を回収して処理し、再資源化を行う追跡システムの開発を進めている。

 象印と共同で、マイボトルの利用状況を可視化してペットボトルの削減につなげる取り組みも注目されている。再生資源の回収、再資源化のニーズは今後ますます高まるだろう。

 今後は、学校教材やエンターテインメントの領域でのビジネス展開も検討していきたい。