2025.01.17 【情報通信総合特集】2025市場/技術トレンド オフィス/DXソリューション

業種・業務に特化したDXが活発化

情報共有を促進するクラウド型サイネージ配信が始まった情報共有を促進するクラウド型サイネージ配信が始まった

中小企業のDX化支援

デジタルサイネージなど利用

 ハイブリッドな働き方や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を支援するソリューションの提案が活発化している。

 ハイブリッドワークが普及するにつれ、企業内の情報共有の在り方が大きく変化した。デジタルサイネージは、社内情報や最新ニュースの共有手段として多くの企業で活用されているが、在宅勤務や外出中の社員に同等の情報を届けることは困難で、情報の平準化が課題となっている。

 こうした課題を解決するソリューションとしてリコーは、クラウド型サイネージ配信サービス「RICOH Digital Signage(リコーデジタルサイネージ)」の新サービスの提供を開始した。

 社員がパソコンやスマートフォンなどの個人の端末から、デジタルサイネージを視聴することができる。バーチャルサイネージ用のURLを、任意のWebサイトに埋め込むことで配信設定が可能。例えば社内ポータルサイトにバーチャルサイネージを埋め込むだけで、既存のポータルサイトやデジタルサイネージコンテンツを活用して情報共有できる。

 バーチャルサイネージのコンテンツから特定のページへ遷移し、詳細を確認することもできる。オフィスに設置するデジタルサイネージと同じ管理画面で配信設定ができるため、管理者に業務負荷をかけることなく、コンテンツの更新作業を容易に行える。

 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、DXを加速するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」を昨年11月から提供。複合機との連携でDX化を推進する。主に中堅・中小企業を対象に2027年度までに国内で1万社への導入を計画する。

 同社は、ビジネスソリューション事業のフィロソフィー「CHX(カストマー・ハッピー・エクスプレス)」を設定し、顧客の成功体験を実現するソリューション・サービスを強化。第1弾として、中堅・中小企業のIT運用・管理業務を支援する「IT Expert Services」を提供しており、IWproでDX支援をさらに加速させる。

 また、富士フイルムBIジャパンが成功事例を導入しやすいパッケージで提案する「Bridge DX Library」も対象業種を増やし、ラインアップを拡充している。

 キヤノンマーケティングジャパンは、中小企業向けIT支援サービス「HOME」やNIコンサルティングとの戦略的業務提携による「NI Collabo」シリーズを強化。「まかせてIT DXシリーズ」では中小企業のDX実現に向け、セキュリティーや保守・運用サービスに加え、「経営支援サービス」「教育支援サービス」などでIT投資計画から人材育成まで支援し、競争力強化につなげている。昨年2月から業種ソリューションとして介護ソリューションを提供している。

 また、業務改革とDXを支援するソリューションとして「Digital Work Accelerator」に注力している。

 コニカミノルタジャパンも、成功事例をパッエージ化したDX支援「サクセスパック」を提供している。「働きやすい環境支援」では、オフィスソリューション事業、DXソリューション事業などを通じて「いつでもどこでも働ける環境づくり」を推進。同社は特に中小企業をターゲットに、ITサービス、複合機と文書管理の連携、オフィス設計・デザインといった空間デザインなどに力を入れている。

 エプソン販売は、プリントやコピーの使用状況に合わせてプランや機器を選べる「エプソンのスマートチャージ」が好調。環境への意識が高い企業や医療、サービス業、官公庁、税理士事務所など、プリントニーズが高く、環境価値の効果が出やすい業種などを対象に販売を強化している。

 東芝テックは、複合機本体とクラウドストレージサービス「Collastorage」との連携を強化。複合機の利用シーンをオフィスに限定せず、多様化するワークスタイルに対応している。

 電帳法やインボイス制度などの法令改正に合わせて企業のDX化は進んだが、特に中小企業ではDX化が進んでいない。リコージャパンが、取引のある年商50億円以下の中堅・中小企業を対象に行った電帳法対応状況の調査では、8割超の企業が対応していたが、「電帳法に適した業務運用体制になっていない」「法対応により業務量が増えた・業務効率化が必要」などの実態が明らかになった。

 インボイス制度は23年10月1日から、電帳法は24年1月1日から義務化された。法令改正を契機にしたDXの進展も今年の大きなテーマといえる。