2025.01.17 【情報通信総合特集】2025市場/技術トレンド データセンター
キヤノンMJ西東京データセンター
トレンドハイパースケール化が加速
再生エネ活用など活発化
クラウドサービスの拡大や生成AI(人工知能)の本格化などを背景に、データ量の急増が予想され、受け皿としてのデータセンター(DC)需要は、高い伸びが見込まれている。外資巨大IT企業が、DCなどにこの数年間で合わせて4兆円規模の投資を行う計画があるなど、今後DCのハイパースケール化も加速する。一方、発熱量の多いGPU(画像処理半導体)を使用したAIサーバーなどの配備が進むことから、DCの消費電力の急増は必至。再生可能エネルギーの活用やサーバーの冷却技術の開発、導入の動きが活発化する。
IDC Japanが先にまとめた国内DCサービス市場予測では、2023年で2兆7361億円だった市場規模が28年にかけて年平均13.2%で伸長し、28年には5兆812億円となり、5兆円の大台に乗る。
こうしたクラウド市場拡大を背景に、DC需要が急拡大している。近年、ハイパースケール型の大規模DCの建設が相次いでいる。クラウドサービス拠点として、関東、関西地区や北海道で建設ラッシュとなっている。ハイパースケール型DCはキャパシティーが非常に大きく、クラウド事業者などが利用している。
米大手IT企業がクラウドサービスやAI開発の基盤となるDCへの投資を本格化させている。グーグルは千葉県印西市に環境対応を強化した大規模DCをいち早く開設したが、地方への展開を視野にDC整備を進める。AWS、マイクロソフト、オラクルなど米大手外資合わせて約4兆円を今後、DCなどに投資する計画だ。直近では、米マイクロソフトが25年6月期までにAI開発の基盤となるDCに世界で800億ドル(約12兆円)の投資を発表したが、AI時代を迎え、大手外資はDCへの投資を加速させている。
グローバルにDC事業を展開するエクイニクスは、昨年10月に都市型とハイパースケール型に対応した新DCを東京都品川区に建設した。
近年、関西地区でもDC建設が相次いでいる。関西地区は首都圏に次いでDC市場が急拡大している。NTTコミュニケーションズが、関西地区で最大級のDCを開設している。また、世界有数のDC運営会社のCyrusOne(サイラスワン)と関西電力の合弁会社関西電力サイラスワンが、昨年9月に日本で第1号となるDC建設に向けて土地造成を開始した。ハイパースケール型DCとして、関西地区のDCの主要拠点であるけいはんな地区に位置し、28年第1四半期までに稼働を開始する予定だ
安定した土地と冷気を確保できる北海道はDCにとっても好条件がそろっている。国内企業として唯一、ガバメントクラウドに認定されているさくらインターネットは、石狩市に再生可能エネルギー(再エネ)100%の石狩DCを開設した。
京セラコミュニケーションシステムが、北海道石狩市に建設を進めていた再生可能エネルギー100%で運営する「ゼロエミッション・データセンター石狩(ZED石狩)」が、先ごろ開所した。常時再生可能エネルギー(再エネ)100%を使用するDCとしては、国内で初めてだ。
北海道ではソフトバンクが、苫小牧市に国内最大級のDCを建設、26年度に完成を予定している。
DCの脱炭素、省エネ化の動きが活発化している。大手DC事業者のアット東京は、ハウジングサービスなどに使用する電力を、実質再エネ100%で提供している。
インターネットイニシアティブ(IIJ)では、松江DC、白井DCでカーボンニュートラルDCリファレンスモデルを提唱している。また、白井DC利用者への脱炭素化推進を支援する取り組みとして、非化石証書の直接調達を開始し、24年度から商用化に踏み切った。26年度までの新中計期間内に白井DCの3期棟に建設に着手する。
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)はITサービス強化でDCに注力。新設の西東京DCの2期棟が満床状況で、3期棟目の建設も視野に入れる。新たに昨年12月から高性能サーバーなどの液冷方式冷却サービスを開始した。
冷却サーバーでは、NTTコミュニケーションズでも冷却方式のサーバー機器に対応した超省エネ型DCサービスを24年度内の商用化を目指している。また、三菱重工業とNTTコム、NECネッツエスアイは、既存設備を大幅に改造することなく、DCの冷却能力を高める実証実験を12月から開始した。