2025.01.22 【ネプコンジャパン/オートモーティブワールド特集】 カーエレクトロニクスの技術革新進展
ホンダの燃料電池自動車「CR-V」
SDVなど次世代自動車に照準
電装機器の高性能化を促進
ADAS/自動運転技術の高度化やxEV化の進展を背景に、カーエレクトロニクスの技術革新が進んでいる。自動車のSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル〈ソフトウエア定義車〉)化も、電装機器の高性能化を促進する。これらに対応し、次世代自動車に照準を合わせた車載用電子部品・モジュールや電子材料の技術開発も活発化している。
自動車の世界生産台数(乗用車+商用車)は、2010年代後半の年間9500万台前後をピークに、新型コロナ拡大に伴う消費低迷や企業活動停滞の影響を受けた20年には7600万~7700万台程度まで急落したが、その後は徐々に生産が増加し、23年は9000万台近い水準まで回復した。
24年は、年初段階では9200万台前後への拡大が予想されていたが、BEV(完全電動車)市場の減速や、高インフレによる世界的な新車販売の伸び悩みなどが響き、当初予測を下回る8900万台前後になったとみられる。
25年の自動車世界生産台数は、HEV(ハイブリッド自動車)などは伸長が見込まれているが、自動車トータルでは前年比微増程度にとどまる見通しだ。それでも、「CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアード&サービス、エレクトリック)」や「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」などをメガトレンドとした自動車の高機能化に伴い、カーエレクトロニクス市場は着実な成長が見込まれる。
自動運転関連では、最近は米国や中国などで自動運転タクシーなどの実用化が進展。日本でも最近は自動走行車両の一般道での実証実験などが始まりつつあり、4月に開幕する「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)でのプレゼンテーションなどへの期待が高まっている。
将来の完全自動運転車での車室内のビジネスルーム化/リビングルーム化などを視野に、次世代映像・音響システム向けの技術提案にも力が入る。
乗員の安全性や快適性向上のための製品開発も活発化。近年は車室内での幼児置き去り事故などを防止するため、車室内監視システムの開発に注力しており、ミリ波レーダーや4Dイメージセンサーなどを応用した技術開発が進展する。
車載用電子部品市場は、車の高機能化や電装化の進展を背景に、自動車1台当たりの電子部品搭載点数が右肩上がりで増加しているため、今後も車の生産台数の伸びを上回るペースでの成長が期待されている。
アプリケーション別では、ADAS/自動運転技術の高度化が、自動運転システムの制御系部品やセーフティー関連の部品需要を押し上げている。車載5Gの適用拡大や統合ECUへのシフトも付加価値の高い電子部品の需要を創出し、統合ECUのHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)シフトに照準を合わせた高周波デバイスや放熱デバイス、ノイズ対策部品などの技術開発が進んでいる。
EVやPHV(プラグインハイブリッド車)などのxEVでは、インバーター、DC-DCコンバーター、車載充電器、電池システムなどの各種エレクトロニクスユニットが搭載され、これらに向けた電子部品の開発が活発になっている。