2025.01.23 【開発のキセキ㊥】ナカガワ工業「結露防止ヒーター アル」 カギは5枚組2段構造と曲線
電気ヒーターを覆うアルミの断面(提供写真)
窓下に設置する「結露防止ヒーター アル」は、これまでの窓下ヒーターに対し、コンパクト性を兼ね備えながら性能を向上させた。出力を大きくすると表面が高温になってやけどなどの危険性が高まる。出力を上げながら表面温度を50~60度に抑えられたのは、5枚の電気ヒーターの配置を上段と下段に分離させ、上段の電気ヒーターのアルミパネルを湾曲させたことで実現できた。
ロングセラーである窓下ヒーター「マルチヒーター」の電気ヒーターは4枚。結露発生を防ぐために当初、ヒーターの数を6枚に増やして試作した。窓下に設置する製品のため、高さを抑えてヒーターの重なりを増やしたが、熱がこもり表面が高温になったため、再設計。5枚のヒーターが最適という結論に至った。
アルの5枚の電気ヒーターを包むアルミの間隔を広げたり狭くしたりして、熱の対流が効率よく発生する形を目指した。下段中央に設置した電気ヒーターのアルミが、自然対流を促す形になった。
上下段に分けることで、段の境目からも冷気を吸い込んで対流を発生させられる。電気ヒーターを熱伝導率が高いアルミで覆うことで、下段に電気を通すだけでも上段のアルミが温められ、自然対流が起こる。
ユーザーの要望を受けて作ったアルミパネルヒーター「イコロ」で採用している湾曲アルミパネルの形状を取り入れた。上段のアルミを湾曲させることで、自然対流に加えて輻射熱でも空気を暖められる。
◇対流のカーテン
中間台座も外から目立たないように内側に入れ込んだことで、ドーム型に対流を発生させられるようになった。マルチヒーターには、本体の長さに応じて中間台座が外側に等間隔で付いていたため、一本のマルチヒーターの対流が中間台座で分断されてしまっていた。
◇本体にスイッチを
コンパクトな見た目にするため、スイッチの設置にも気を配った。マルチヒーターでは、コードにスイッチを付けていた。アルではスイッチの存在が側面から見えないようなデザインを試みたが、スイッチを本体に収めようとすると、本体自体が大きくなってしまう問題に直面。
そこで、アル本体の両端に付ける台座の大きさを左右で変えることにした。「左右同じだと金型一つで済んだが、スイッチが付いている側を少し大きくした」(中川富雄社長)。5年間、工業デザイナーと話し合い、おしゃれでありながら性能も発揮できる形に落とし込んだ。
(つづく)