2025.03.06 「半導体後工程との境界に変化」 ロボティクス再編、7月に新会社 ヤマハ発

グループでSMT、半導体、FAなど主要な装置をそろえるのが強みと話す江頭執行役員

半導体領域での引き合いが増えていると話す小林事業部長半導体領域での引き合いが増えていると話す小林事業部長

半導体向けの主力製品「i-Cube10 (YRH10) 」半導体向けの主力製品「i-Cube10 (YRH10) 」

 ヤマハ発動機は、電子機器の製造工程を支える表面実装技術(SMT)の分野で、高い技術力と総合力を強みに半導体市場への展開を加速させている。同社はSMT工程に必要な主要装置を自社でそろえ、高効率な生産ラインを提案可能。実装機は半導体分野でも存在感を増しており、ウエハーから切り出したチップ(ダイ)をパッケージ基板に搭載する用途などに用いられている。

 半導体向けの主力製品「i-Cube10(YRH10)」は、実装機能とダイボンダー機能を兼ね備え、省スペースながら高い生産性と汎用性を実現。1時間で搭載できる部品点数(CHP)が1万800個というベアチップ搭載速度を備える。搭載精度はプラスマイナス15マイクロメートルで、ウエハー供給とテープ供給の両方に対応し、半導体と電子部品の混載実装が可能だ。ロボティクス事業部の小林一裕事業部長は「半導体分野でのYRH10の引き合いは増加傾向にある。数年前からクロスセルにも取り組んでおり、SMT、FA、半導体など各領域でのシナジーを生み出していく」」と語る。

 ヤマハ発動機はグループ会社のヤマハロボティクスホールディングス(YRH)とも連携し、半導体事業を強化。YRHは2019年7月、ヤマハ発動機と新川、アピックヤマダの3社統合により誕生し、半導体後工程の主要装置をそろえる。江頭綾子執行役員ソリューション事業本部長は「SMT工程は求められる精度や技術も高くなっており、半導体の後工程との境界が変化しつつある。SMT、半導体と各領域に最適なソリューションを持つ強みを生かし、成長につなげたい」と話す。

 同社は2月に発表した新中期経営計画(25~27年)でロボティクス事業を戦略事業に位置付け、7月1日付でYRHを再編することも決めた。YRHは傘下の新川、アピックヤマダ、PFAを吸収合併し、「ヤマハロボティクス」として再出発する。ロボティクス事業はSMT、SEMI(半導体後工程)、FAの3分野で構成され、研究開発費を前中計比1.3倍、SEMIの設備投資を同2.2倍に拡大する計画だ。

<執筆・構成=半導体ナビ