2025.04.10 「視聴体験を高めたい」 TVSレグザが対話できるAIテレビ 石橋副社長に聞く
中国テレビ大手海信集団(ハイセンス)傘下の「TVS REGZA」(レグザ、川崎市)は8日、2025年春に日本で発売する薄型テレビの第1弾として、AI(人工知能)とセンシング技術で視聴体験を高める先進機能を備えた製品などを含む4シリーズ10モデルを発表した。加えて、大画面で4K映像を投映できる同社初のプロジェクターも展開する。高付加価値製品で多様化する映像の視聴ニーズに応える同社の石橋泰博副社長に、製品戦略を聞いた。
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―日本のテレビ市場をどのように見ていますか。
石橋副社長 全体の台数のボリュームはここ数年、変わらない状況だ。一方でテレビの大型化が進み、単価が上がっている。
―そうした傾向は続くと見ていますか。
石橋副社長 今後も、テレビの大型化は進むだろう。大型製品の価格も下がってきている。当社の場合、85インチが20万円台だ。テレビにとって大型化は「正義」だと思っている。大型になればなるほど臨場感が増すからだ。110インチクラスになると等身大に近い。座って視聴すると、目の前が映像で埋まるような体験ができる。
―プロジェクターの投入で主戦場が広がります。各種製品の優位性は。
石橋副社長 プロジェクターは簡単に大画面で映像を見られる手段として有効だと思うが、テレビの明るさにはかなわない。寝室に大画面テレビを置くことに抵抗がある顧客も多く、電源を消したテレビの黒い空洞のような状態を解消する研究開発を進めている。
―映像の視聴スタイルは多様化しています。
石橋副社長 顧客のTPO(時・場所・場面)に合わせるようにしている。テレビ画面に集中したい時や画面が黒いままだと寂しいと思う時など、顧客の気分に寄り添った映像を流すことが重要と考えている。
リビングで読書をする際には、書籍に集中するためにテレビを消す人が多い。アマゾンの音声アシスタント「アレクサ」が流す音楽で一番使われている曲はヒーリング(癒やし)という。(アレクサと)似たようなことをテレビでも提供できないかと考えている。
―今回発表した4Kレグザの新シリーズには、AIを活用し快適な視聴環境を実現する新機能「レグザ インテリジェンス」を搭載。AIと対話しながら映像を探せるようにしました。
石橋副社長 「レグザ インテリジェンス」は、25年の(テクノロジー見本市)CESで発表した。視聴者を自動検出してくれる。カウチに寄りかかってテレビを見ている状態を壊さないように、リラックスして没入感がある状況で見てもらいたい。
―新機能は、グーグルの生成AI「Gemini(ジェミニ)」と連携しています。
石橋副社長 コンテンツとの出会いを大切にしたいと考え、コンテンツを発見する性能が最も優れたジェミニを採用した。だが、一つの生成AIを使い続けるのではなく、実現したいことに応じてAIを変えていきたい。「レグザ インテリジェンス」は8月にアップデートする予定で、今後とも進化させていく。
―テレビ事業は継続していきますか。
石橋副社長 柱となるテレビ事業は、売り上げを伸ばせる状況にあり、今後も継続していく。テレビの需要は無くならないと思っている。プロジェクターや昨年発売したゲーミングモニターは選択肢の一つだ。
映像の消費時間が世界的に拡大する中、時間を消費するためのデバイスも増えている。見る映像によってデバイスを選べるようにしていきたい。