2025.05.20 台湾でICT見本市開幕 「次のAI」視野に世界各地から1400社集結  

初日から活気づく「COMPUTEX TAIPEI 2025」=20日、台北市

セレモニーに臨む(左から)黄董事長、頼総統、政府の郭智輝経済部長、彭理事長セレモニーに臨む(左から)黄董事長、頼総統、政府の郭智輝経済部長、彭理事長

来場者でにぎわうフォックスコンのブース来場者でにぎわうフォックスコンのブース

 アジア最大級のICT見本市「COMPUTEX(コンピュテックス) TAIPEI 2025」が20日、台湾・台北市で開幕した。25の国・地域から1400社が出展。約4800に上るブースで、AI(人工知能)をはじめとする多彩な最新技術の競演が繰り広げられる。米国のエヌビディアやクアルコムなど半導体大手が新たな事業戦略を表明する舞台としても注目を集めそうだ。会期は23日まで。

 オープニング・セレモニーには、今年で就任1周年を迎える頼清徳総統も出席。ペガトロンやエイサーといった台湾企業のブースを視察し、多くのメディアから熱い視線が注がれた。頼総統はセレモニーで、「(コンピュテックスは)世界中が注目する見本市に成長した」と手応えを強調したうえで、「台湾を世界のICT企業の立脚点としたい」と力を込めた。

半導体とコンピューティングで架け橋に

 主催の中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)黄志芳董事長(会長)は、今回のテーマとして掲げた「AI Next」に言及。AIが急速に普及する中、「AIは革命の時を迎えている」と力説。続けて、「半導体やコンピューティングに強みを持つ台湾は『次のAI』への架け橋となる」とも述べた。

 ともに主催する台北市電脳商業同業公会(TCA)の彭双浪理事長は、米トランプ政権の関税政策など不安定な経済情勢に触れつつ、「台湾はこの時期を乗り越えられる」と鼓舞した。

 同見本市では、昨年の「ConnestingAI」に続き、AIに光を当てた。具体的には、「AI&ロボティクス」「次世代テクノロジー」「未来のモビリティー」をフォーカスする。

グローバル企業トップが続々と講演

 同時開催のスタートアップ向け展示会「InnoVEX(イノベックス)」は10周年を迎える。24の国・地域から450社超のスタートアップが参加した。

 開幕に際し、クアルコムや台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)などのグローバル企業のトップが次々と基調講演を行っており、今後のテック市場を占う意味でも目が離せない見本市となっている。開幕前日の19日には、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが講演を実施。フォックスコンやTSMC(台湾積体電路製造)と連携し、台湾で「AIスーパーコンピューター」を構築する計画を発表したほか、台湾に同社の新オフィスを開設することを明らかにした。先端分野の製造業をけん引する台湾と連携し、エコシステムを形成するという狙いが透けて見える。

 同日には、米サーバー大手スーパーマイクロによる講演も行われた。登壇したチャールズ・リアンCEOは、今月発表したデータセンターの構築を効率化するソリューション「DCBBS」をアピールした。液冷方式を導入しているため、サーバーやストレージからソフトウェアやサービスまでを同社で手がけている。

 同社のサーバーにはエヌビディアのGPU(画像処理半導体)を数多く搭載しているため、フアンCEOも登壇。リアンCEOと親しげに話しながら、ともに製品を紹介した。