2025.07.02 破産手続き中の船井電機 初の債権者集会 真相解明へ有識者会議も
記者団の取材に応じる原田義昭氏=2日、東京都目黒区
破産手続き中の船井電機(大阪府大東市)の初の債権者集会が2日、東京都内で開かれた。取引先の債権者らが出席し、破産管財人から経営再建に向けた多角化戦略の失敗が破綻につながったとの説明があった模様。一方、集会への出席が認められなかった登記上の代表取締役で元環境相の原田義昭氏は、破産手続きに疑義を唱え、真相解明に向けて有識者会議を立ち上げることを明らかにした。
集会は東京地裁中目黒庁舎(東京都目黒区)で、午後2時に開始。関係者によると、破産管財人が手続きの経緯や財産状況などについて報告した。会場からは、債権者への返済などに関する質問が相次ぎ、800億円を超える債務の弁済の見通しは得られていない。船井電機と取引がある会社に勤める60代男性の債権者は、集会後に「分配は厳しいのではないか」と話した。同じく取引がある経営者は「未払い給与の優先的な支払いなど、社員に寄り添った言葉が聞かれた」とした上で、「(決着まで)2、3年はかかるだろう」との見方を示した。第2回の集会は12月に開かれるとみられる。
船井電機を巡っては、同社取締役の1人が昨年10月24日、取締役会の決議を経ない準自己破産を東京地裁に申し立て、破産手続きの即日開始が決定した。有識者会議は、こうした経緯に疑念を抱いて1日に設置。発起人として、元名古屋高裁長官や弁護士らが名を連ねた。準自己破産制度が濫用された可能性があるとみて、同制度の運用実態などを分析。さらに裁判所と破産管財人による手続きの進行も問題視し、適法で公平だったかを検証したいという。
原田氏は2日、記者団の取材に応じ、「有識者会議は破産手続きの真相解明が目的。中立的で客観的な観点から世の中の人に、経緯を知ってもらうことが大切だと思う」と述べた。
帝国データバンクによると、船井電機は1951年に創業した船井軽機工業のトランジスタラジオ部門を分離して61年に設立。「FUNAI」ブランドのテレビやステレオから情報通信機器まで事業の幅を広げ、OEM(相手先ブランドによる生産)メーカーとして存在感を発揮した。リーマン・ショック以降は北米市場での販売不振や中国テレビメーカーの台頭で競争力が低下。海外子会社の不祥事なども重なり、収益が悪化した。2021年には秀和システムホールディングスに買収され、上場が廃止。持ち株会社制への移行後も経営を揺るがす問題が生じ、信用不安が拡大したという。