2025.11.07 旭化成のLIB用超イオン伝導性電解液技術 独EASとライセンス契約

EAS社の超高出力リチウムイオン電池

 旭化成は、ドイツの電池メーカーEASバッテリーズ(EAS社)と、旭化成が開発した超イオン伝導性電解液技術に関するライセンス契約を締結した。この技術は、EAS社が新たに開発したリン酸鉄(LFP)を正極に用いた円筒型の超高出力リチウムイオン電池(LIB)に採用され、2026年3月に販売開始の予定。

 両社は、互いの技術を融合し、ドイツ連邦教育研究省の「ヘッドライン」プロジェクトの支援も受けながら、次世代電池の開発を進めてきた。両社は同技術を世界中の自動車メーカーや電池メーカーへサブライセンスする取り組みにも合意しており、モビリティー分野への展開も目指している。

 両社が開発した新型LIB(容量22Ah)は、同じ容量でも従来品の約1.6倍の出力を実現。加速時や重機の立ち上げ時など、瞬間的に大電力が必要な場面でも安定して高いパワーを発揮する。寿命にも優れ、長期間の使用でも性能が落ちにくくなり、急速充電・急速放電にも対応。内部抵抗が低いため発熱(エネルギーロス)を抑え、エネルギー効率が向上した。

 旭化成が開発した高いイオン電導性を持つ電解液により、電池内部の抵抗が低減。パワーが必要な場面でも安定した出力を維持する。船舶や鉄道、建設機械など過酷な環境で高い信頼性が求められる分野での活用が期待されるという。

 技術は、溶媒にアセトニトリルを含むことで既存電解液では実現困難な高いイオン伝導性を有している。独自の電解液組成調合技術と電極・電解液の界面制御技術により、低温下での出力向上と高温下での耐久性向上を両立した。