2026.02.23 【複合機ソリューション特集】DX・セキュリティー・環境で競争軸 中堅中小企業の課題解決サポート

エプソンは、バッテリーで駆動する省電力複合機を訴求するエプソンは、バッテリーで駆動する省電力複合機を訴求する

 企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が急ピッチで進んでいる。ただ、大手企業のDXは進展しているものの、日本企業の9割以上を占める中堅・中小企業では依然として遅れが目立つ。2024年1月に電子取引の電子保存が義務化される電子帳簿保存法(電帳法)が施行されたが、特に中小企業では対応が十分に進んでいないのが現状だ。人手不足や専任IT人材の不在といった課題を抱える中小企業のDX推進は、喫緊のテーマとなっている。

DX支援ソリューションを強化
 各社は企業のDXを支援するソリューションを強化している。リコー、リコージャパンが注力するDXソリューション「スクラムパッケージ」「スクラムアセット」などのスクラムシリーズは、前年比で30%近い伸びを示した。グループ会社PFUのスキャナーを組み合わせた複合機モデルの投入により、企業の紙文書の電子化を後押ししている。

 富士フイルムビジネスイノベーションが提供する文書管理ソフト「DocuWorks」は、国内外で累計販売1000万ライセンスを突破。クラウドサービス「IWpro」では、紙帳票やメール、FAXなどを自動でデータ化し、内容確認から顧客対応、電子保存までの一連の業務を支援する。AI機能の強化により、業務高度化への対応を進めている。

 キヤノンマーケティングジャパンは、紙文書の保管からクラウド上での電子保管までをシームレスに行えるサービスを展開。東芝テックは、中小事業者の業務効率化を支援するため、クラウドストレージ連携やOCR(光学文字認識)機能を標準装備した「Plusモデル」を市場投入した。コニカミノルタジャパンも、電帳法対応ソリューション「スキャン保存名人」に注力する。

 エプソン販売は「エプソンのスマートチャージ」で文教市場や医療分野のDX支援を進めるとともに、クラウド型文書管理サービス「Epson Document Cloud」の提供を開始。対応複合機と連携し、紙文書の電子化からクラウド保存・検索・共有までを一元管理できる環境を提供し、特に中小企業の業務効率化と情報管理を支援している。

高まるセキュリティー対応
 企業を狙ったサイバー攻撃が急増している。複合機はネットワーク端末として攻撃対象になりやすく、サプライチェーンの脆弱ぜいじゃく性が狙われるケースも増えている。中堅・中小企業におけるセキュリティー強化は不可欠となっている。

 こうしたリスクの高まりを受け、経済産業省は企業のセキュリティー評価制度として「セキュリティ対策評価制度」を26年度から導入する予定だ。評価は3段階でセキュリティー強度を認定する仕組みで、認定取得が取引先選定の重要な判断材料になる見通し。富士フイルムビジネスイノベーションは、ITエキスパートサービスやMPS(マネージド・プリント・サービス)を通じ、認定取得支援やサーバー脅威対策支援を拡大している。各社ともITインフラ強化支援に本腰を入れる構えだ。

環境対応と再生機が拡大
 環境規制の強化への対応も重要テーマとなっている。各社はソフトウエア更新で長期利用を可能にし、部品リユース率を高めた再生複合機を相次ぎ投入。循環型社会を見据えた製品開発が本格化している。企業の二酸化炭素(CO₂)排出削減を支援するカーボン・オフセットサービスも広がりつつある。

 リコーは「サーキュラーエコノミー(CE)」を掲げ、部品リユース率を86%まで高めたA3カラー複合機をラインアップ。富士フイルムビジネスイノベーションは、再生複合機として業界最多となる12機種を展開し、資源循環システム「クローズド・ループ・システム」などの取り組みが評価され、昨年、資源循環技術・システム表彰で「経済産業大臣賞」を受賞した。

 キヤノンは、部品リユース率を約95%まで高めた再生複合機を発売。回収機の稼働データに基づき部品再使用を自動判定する仕組みを構築し、30年までに複合機に占める再生材料比率を50%へ引き上げる計画だ。

 エプソンは、環境負荷低減に寄与するインクジェット方式の複合機に注力するとともに、乾式オフィス製紙機「PaperLab」と組み合わせ、資源循環ソリューションを訴求している。

連携進むエコシステム

 世界的に規制が強化されるプラスチック資源循環への対応では、業界団体JBMIAがOA機器向けのポリスチレン(PS)再生プラスチックを開発し、各メーカーが順次採用する予定だ。

物流面でも複合機の共同配送など効率化の取り組みが進む。

 メーカー間連携も加速している。リコーと東芝テックの開発・生産会社ETRIAには、昨年10月にLED技術に強みを持つOKIが参画。3社の技術と経験を結集し、共通エンジン開発などでシナジー(相乗効果)創出を図っている。

 また、富士フイルムビジネスイノベーションとコニカミノルタの調達会社「グローバルプロキュアメントパートナーズ」も始動しており、両社はトナー生産分野での協業も視野に入れる。

 DX、セキュリティー、環境対応を軸に、複合機業界はエコシステム型の競争へと移行しつつある。