2026.03.16 【スイッチ特集】次世代需要に向け技術開発強化 自動車・ICT・産機など成長分野に照準

照光式押ボタンスイッチ照光式押ボタンスイッチ

 スイッチメーカー各社は、市場ニーズに対応した積極的な新製品開発や製品バラエティー拡充を進めている。自動車や情報通信機器、産業機器、新エネルギー関連などの成長分野に向け、小型・高性能で操作性や信頼性に優れた製品開発に注力する。スイッチのグローバル市場は過去2年ほどサプライチェーン在庫過多などが響き、やや低調な推移が続いたが、2026年は設備投資需要の回復などにより在庫調整からの反転が期待されている。各社は次世代ニーズに照準を合わせた技術開発の強化、グローバルでの営業・マーケティング活動の推進、生産性向上への取り組みに全力を挙げる。

市場動向

コロナ後の需要変動、26年は反転期待
 スイッチはヒューマン・マシン・インターフェースやマシン・マシン・インターフェースをつかさどる部品として、あらゆる工業製品で使用される。

 スイッチのグローバル需要は、20年前半に新型コロナウイルスの影響で急減したが、21年から22年にかけて順調に拡大した。23年は産業機器分野を中心に調整色が強まったものの、コロナ禍時に部品ユーザーがBCP(事業継続計画)対応として在庫を積み増したことによりスイッチ各社の受注残が高水準だったことや、堅調な車載需要、為替の円安寄与もあり、スイッチ出荷は比較的堅調に推移した。

 この結果、電子情報技術産業協会(JEITA)の統計では、23年度累計のスイッチグローバル出荷額は前年比2%増の4273億円となり、3年連続で増加した。

 一方、24年度は産機市場の調整局面が予想以上に長期化したことにより、同4%減の4103億円と4年ぶりに減少した。自動車新車販売の減速や低調な欧州・中国景気なども市場に影響を与えた。

 25年は当初、反転が期待されていたが、低調な産機関連や車載需要の低迷などにより、JEITAの25年4~12月累計のスイッチグローバル出荷額は前年同期比15%減の2428億円と厳しい数字となっている。

 それでも月次出荷は25年秋以降やや回復傾向にあり、26年は在庫調整の一段落により市場反転が期待されている。

車載・DC・新エネルギーで需要拡大
 スイッチのグローバル需要は、今後も中長期的に緩やかな成長が予想されている。分野別では、自動車・車載電装やFA機器・半導体製造装置などの産機関連をはじめ、ICT(情報通信技術)やデータセンター(DC)関連、新エネルギー関連などでの需要創出が期待されている。

 自動車では、安全・快適・環境・楽しさなどを切り口とした車両の高機能化が新たなスイッチ需要を生み出していく。ICT関連では、日系スイッチメーカーがグローバルで高いシェアを持つ高機能携帯端末向けなどでの成長が期待される。このほか、産業用ロボット、医療機器、セキュリティー関連、鉄道関連、防衛関連、ドローン、再生可能エネルギー機器など幅広い分野で需要拡大が見込まれる。さらに、IoT市場の広がりに伴い、新たなスイッチ需要の増加も期待されている。

タッチ化進むもメカ式需要は堅調
 最近の電子機器・装置分野では、従来のメカニカル式スイッチからタッチパネルへの移行も顕著となっている。ただ、確実な操作確認が可能で信頼性に優れるメカ式スイッチには根強い需要があり、既存製品のリニューアルへのニーズも強い。

 また、スイッチで培った接点技術を活用し、カスタム操作モジュールやシステム機器などの応用製品を手がけるスイッチメーカーもある。

製品別動向

車載用途、小型・高信頼性が鍵
 自動車には、多くの操作系・検出系スイッチが搭載される。コックピットのフロントパネル周辺やハンドル部のほか、ドアモジュールにもスイッチが多用され、ボンネットやトランクの開閉検知、車室内照明の操作などにも使用される。

 車載用スイッチへの技術要求は、小型軽量で高信頼性に加え、防水性能、耐振動・耐衝撃性、長寿命、耐環境性、良好な操作感触、静音化など多岐にわたる。特に高級車向け操作スイッチには、快適な操作フィーリングや高級感のある操作音が求められる。日米欧などのプレミアムカーメーカーは企業ごとに操作感への独自のこだわりを持つため、スイッチ各社は顧客との擦り合わせを通じた最適な製品設計に努めている。

 安全性向上の観点から、運転者が前方から目を離さず操作できるスイッチの開発なども重視されている。車両の電子化が加速する中で、冗長性確保のため2回路・3回路・4回路の検出スイッチなどの開発も進んでいる。

産業機器用途、高信頼・耐環境性能を重視
 産業用スイッチでは、各種産業機器・装置の高機能化・高性能化や作業性・安全性の向上を目的とした製品開発に力が注がれている。

 用途はFA機器や工作機械をはじめ、ロボット、半導体製造装置、通信・放送用設備、防災・セキュリティー機器、電力機器、建設機械、農業機械、航空宇宙関連など多岐にわたる。産業用途では誤作動の排除が不可欠であるため、スイッチにも高い信頼性が求められる。スイッチ各社は、堅ろう性や長期信頼性、耐環境性、操作性、視認性、優れた防じん防水性能などを兼ね備えた製品開発を進めている。

 鉄道車両や医療機器など、特定業界に特化した専用スイッチの開発も進展している。自動機生産に適したリニューアル製品の開発なども重視されている。

携帯端末向け、小型薄型化と高信頼を両立
 携帯端末用スイッチの開発では、小型・薄型化と高強度・高信頼性・長寿命といった要件を同時に満たすことが求められる。防水性向上への要求も強い。民生用スイッチメーカーはこうした要求に応えるため、シミュレーション技術や材料技術などを駆使した高度な研究開発を展開している。