2026.06.24 ソニーG株主総会、フィジカルAIに関心 株価低迷へ厳しい視線も

ソニーグループの株主総会に向かう株主ら=23日、東京都港区

 ソニーグループ(G)は23日、東京都内で定時株主総会を開いた。複数の株主が、ロボットや機械を通じて動作し作業を遂行する「フィジカルAI(人工知能)」を巡る事業の方向性について質問。十時裕樹社長CEO(最高経営責任者)は「幅広いパートナーと連携しながら、この領域のニーズやその実現に必要となる技術・機能の探索を進める」と強調した。

 総会の会場には、582人の株主が出席。インターネットでは409人が出席し、十時氏ら10人を取締役として選任する議案が可決された。

 株主からはAIに関する質問が相次ぎ、とりわけフィジカルAIに焦点が当たった。十時氏は「フィジカルAIの普及が進めば、センサー需要の拡大が見込まれる」と説明。「フィジカルAIは周囲の環境をリアルタイムで認識し処理することが不可欠であり、こうした要求に応える高性能なイメージセンサーの開発・製造が可能だ」と述べた。

 イメージセンサーは現実世界を精緻に捉える「電子の眼」で、足元ではスマートフォン用カメラ向け需要が中心だ。今後は、フィジカルAI向けの中核部品として、需要の拡大が見込まれている。

 ソニーGは5月、半導体事業を担う完全子会社ソニーセミコンダクタソリューションズと、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けて基本合意したと発表した。十時氏はTSMCとの協業に触れ、当面はスマホ向けイメージセンサーの性能向上に注力する一方、将来的にはフィジカルAIの需要拡大も見据える考えを示した。

 株主が人に寄り添うヒューマノイドロボットなどロボット事業の開発構想や方向性を尋ねると、担当の役員がソニー独自の技術とコンテンツを組み合わせた体験価値の創出を目指す考えを示した。

ホンダとのEV事業も焦点に

 株主からは、株価低迷を懸念する声も相次いだ。これに対して十時氏は、「経営陣として十分認識し、重く受け止めている」と回答。株価に影響を及ぼす外部要因としては、主に「AIデータセンター需要の拡大に伴う半導体メモリーの価格上昇と供給制約」や「AIの進展によるコンテンツ制作への参入障壁の低下」を挙げた。その上で「ビジネスモデルと進むべき方向について確信を持っている。丁寧に説明することで、株式市場の理解を得ていきたい」と語った。経営のリーダーシップが株価に連動する報酬体系にも言及し、ガバナンス上の課題がないかについて継続的に議論していく方針も示した。

 また、ホンダとの電気自動車(EV)事業にも、株主から厳しい視線が注がれた。ソニーGとホンダが共同出資するソニー・ホンダモビリティのEV「アフィーラ」は、同社の戦略変更により開発・販売が中止に追い込まれた。この方針転換に伴う損失計上について十時氏は、「事業縮小などを通じて影響の最小化に努める」と説明。続けて、「今回の取り組みを通じて得られた知見や技術、人材は大きな資産であり、今後も日本のモビリティー産業の発展に貢献していく」と述べた。