2026.06.25 日立株主総会、社長「AIを巨大な成長機会に」 リスク対応も焦点に

定時株主総会に臨む日立製作所の德永俊昭社長兼CEO

 日立製作所は24日、東京都内で定時株主総会を開いた。複数の株主からは、人工知能(AI)を巡り、「成長機会」と「リスク対応」の両面についての質問が相次いだ。德永俊昭社長兼CEO(最高経営責任者)は株主の前で、「日立にとってAIは、非連続的な成長をもたらす大きな機会であると確信している」と強調。さらに、AIと人が適切に協働する組織のあり方を追求していく考えも示した。

 日立は、AIを融合して進化を続ける主力のデジタル事業「Lumada (ルマーダ)3.0」を全社業績のけん引役と位置付け、2025年度から社会インフラを革新する次世代ソリューション群「HMAX(エイチマックス)」を本格始動。同年度の実績は、売上収益が3000億円に達し、利益指標の「Adjusted EBITA率」が20%を超えた。

 総会の前半で德永社長は、AI関連市場が30年に100兆円超に拡大するという予測に触れながら、ルマーダ事業の実積や方向性などについて説明。AIによる事業機会を最大化するため、グローバルなAIエコシステム(生態系)を拡大する方針も表明し、「日立のドメインナレッジと各社のAI技術を掛け合わせてHMAXをさらに強化していく」と力を込めた。

 質疑応答では、株主からAIに関する注力事業や設備投資の方向性について質問が挙がったほか、米アンソロピックの「クロード・ミュトス」などシステムの脆弱性を発見する能力が高い先端AIの脅威にも焦点が当たった。日立の担当役員は、価値の大きい最適な先進AIを選びながら、セキュリティー面のリスクにも警戒し堅牢なサイバー防御体制を構築していく方針を示した。

 株主が自律的に業務をこなすAIエージェントの社内活用の方針について尋ねると、德永社長はエージェントで「組織」「採用」「評価」の形を大きく変える必要性を強調。続けて、「AIといかに協働で仕事を進め、新しい日立をつくっていくかは、経営者として重要なテーマだと認識している」とも述べた。

 また日立は、製造設備や産業ロボットなど幅広いプロダクトに搭載可能な「エッジAI半導体」を開発した実績を持つ。株主からロボット分野を巡る事業の方向性について質問が飛び出すと、担当役員は開発発成果を、現実世界のロボットなどを自律的に制御する「フィジカルAI」につなげていくことに意欲を示した。德永社長も、エッジAI半導体を取り付けることでロボットの生産性を圧倒的に高め、人手不足問題の解決や高品質なモノづくりに貢献する考えを示した。

 総会には、委任状を含め475人の株主が出席し、18人が発言した。取締役全員の任期満了に伴い、新任2人を含む11人を選任する議案を諮り、承認・可決された。