2020.07.21 【家電総合特集】巣ごもり家事の軽減などキッチン家電に注目

巣ごもり需要で、調理家電全般に注目が集まる

在宅の時間が増えると家の清潔への関心も高まり、掃除機も売れた在宅の時間が増えると家の清潔への関心も高まり、掃除機も売れた

 新型コロナ感染症の拡大は、社会、経済に大きな影響を及ぼしている。生活にも多大な影響を与えており、消費者の行動様式は大きく変化した。

 最も大きな変化があったのは行動自粛に伴う在宅時間の増加、それに伴う巣ごもり消費の拡大だ。生活スタイルが新型コロナ前と後でガラリと変わった。

 パナソニックの調査によると、新型コロナの影響による在宅時間の増加で、どのような家事が最も負担に感じるかとの問いに、トップは「料理」だった(女性では66%)。

 次いで多いのが「子育て」(同53.9%)、部屋の掃除(同34%)、食器洗い(同33%)(n=412)となっている。子育てについては男性も約40%と、男性が負担に感じるトップに挙がっている。

 この「子育て」以外は、家電製品による負担軽減が可能な領域であり、省家事ニーズを満たす幅広い商品の需要が喚起された。

 とりわけ、巣ごもり消費の拡大で、注目された家電製品がキッチン家電分野だ。

 中でも調理家電関連は、新型コロナ感染症がまん延しはじめた2、3月以降、好調な推移が続いた。

 ホットプレートやホームベーカリ、ほったらかし家電ともいわれる電気自動調理鍋など、注目された商品が多かった。

 パナソニックでは、ホットプレートや電気圧力鍋が春先は好調に推移し、とりわけ電気圧力鍋は、前年を大きく上回る実績を上げている。

 材料を入れ、あとはスイッチ一つの簡単操作と、失敗なく、おいしく仕上げられることから、家事負担の軽減につながる商品の一つとして注目された。

 同様に、シャープの水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」も好調で、合わせてホットクック用のミールキット宅配サービス「ヘルシオデリ」も販売が急増するなど、巣ごもりに関連して需要が急増した。

 同社によると、ヘルシオデリは、昨年から冷凍食材にも対応できるようにしたことが、利用の急増につながった理由の一つとみている。

 在宅の時間が増えるとともに、家事も増え、従来以上に省家事ニーズが高まっており、家事の中でも負担が大きい調理の効率化、時短は消費者にとって大きなメリットがある。

 併せて、外出自粛の折には特に〝まとめ買い〟が増えることから、長期保存ができる冷凍食品・食材の購入も増える。長期保存による食材廃棄ロスにも貢献する。こうした背景からヘルシオデリの利用が急増したとみられる。

 同社によると4月以降、ヘルシオ ホットクックとヘルシオデリともに、前年比3倍の販売につながったという。

 関連して、冷凍食品・食材の増加は、大容量冷蔵庫の関心も集めた。もともと、共働き世帯の増加を背景にまとめ買いが増えて、食材の長期・大量保存のニーズは高まっており、巣ごもり消費の拡大で、そのニーズがより一層高まったといえる。

 冷蔵庫商戦自体は、外出自粛期間中は苦戦。自粛緩和後は、店頭に足を運ぶ機会も増え、より大容量タイプへの買い替え需要が顕在化し、商戦は活発に展開している。

 冷蔵庫各社の商品開発は、顧客ニーズに対応した新鮮保存性能の向上に力を入れており、最新のモデルへの買い替えは夏商戦でも、期待がかかるだ。

 パナソニックでは、ハイエンドモデルに業務用クラスの冷凍性能を持たせており、急速冷凍によって、食材をおいしいまま新鮮に保存が可能な点を訴求し、「冷凍調理」の切り口で、ユーザーニーズの喚起に取り組んでいる。

 また巣ごもりで、在宅時間が増えたことに伴って、より自宅の清潔への関心も高まったようで、掃除機の動きも良い。

 掃除機では、軽量かつハイパワーが特徴で、取り回しに優れているコードレススティック掃除機への関心が集まる。掃除負担の軽減へのニーズは強く、今ではメーンの掃除機として使える高性能なコードレススティック掃除機がラインアップされているため、今後の商戦活発化に期待が持てる。

 同持に、室内の空気質へも関心が高まる中、空気清浄機やエアコン、換気扇への関心も高まっている。エアコンについては、夏場の熱中症対策に欠かせない商品として、早期の買い替え提案に力が入ったことから、比較的動きは速い。

 ほかに、空気清浄機も好調で、全般的に品薄傾向が続いているという。中には増産投資に取り組むメーカーもあり、今期はこうした空気質に関わる商品群の活性化にも期待がかかる。