2020.08.26 医療業界向けライブ配信ノウハウを他業界へ木村情報技術・木村隆夫社長に聞く

木村 社長

 医療業界向けの講演会ライブ配信サービスを立ち上げ高い実績を持つ木村情報技術(佐賀市)は、医療とICTを組み合わせたサービスで培ったノウハウを他業界へ横展開するとともに、いち早くAI(人工知能)への取り組みを本格化しサービスメニューを拡充している。Web配信とAIを組み合わせた独自の基盤も強みで、新型コロナウイルスの襲来で幅広い業界から引き合いが来ているという。木村隆夫社長に現状と今後の戦略を聞いた。

 -医療業界向けライブ配信サービスとはどのようなものですか。

 年間延べ100万人利用

 木村社長 もともとは薬剤師で長年製薬会社に勤務していた際、医療従事者は医薬品や医療の情報を効果的に得られないという課題に直面していた。これを解決するために、最新情報をインターネット経由でライブ配信できるWeb講演会ライブ配信サービス「3eLive(スリーイー・ライブ)」を立ち上げた。

 現在は全国に九つのスタジオを持ち、配信やコンテンツ作成支援など配信に関連するサービスを総合的にそろえ展開。製薬企業80社とともに年間2200回、延べ100万人が利用するまでになっている。

 -AIにいち早く取り組んでいますね。

 木村社長 ライブ配信事業からスタートしたが、いずれは一般化すると考え、差別化していくために4年前からAIに取り組み始めた。IBMのAI「ワトソン」に着目し、日本初のエコシステムパートナーとしてソフトバンクと契約。その後間もなく医薬品におけるAIサービスやワトソン日本語版の国内初ソリューションとしてAIお問合せシステムを発売した。

 -AIは各社が注目していますが、木村情報技術の特徴は。

 木村社長 現在、AI問合せやチャットボット、文書検索、データ分析などの仕組みを用意し、AI事業部門は100人以上の人員体制で対応している。自然文によるFAQ検索と文書検索ができる独自のハイブリッドAI検索システム「AI-Brid(アイ・ブリッド)」は他社にない強みだと思っている。

 AIはツールにすぎないため、学習データの作り込みが重要になる。この領域は技術者によるアナログ的な要素も多いが、幅広い業界で対応ができるようにしている。AIによる回答率も最終的に9割以上まで高められる。チャットボットをはじめとしたAI関連サービスは90社以上の導入実績を持つ。現在は社内に眠るデータを活用するテキスト分析の仕組みも開発しており、1年以内に導入できるようにしたい。

 -新型コロナにより市場環境は一変しましたが、現状をどうみていますか。

 コロナ禍で企業支援

 木村社長 医療業界向けで成功した配信サービスを他業界で展開することの難しさを感じていたが、コロナによる自粛要請でオンラインでの配信サービスへの関心が一気に高まってきている。現在はWeb動画配信、AI、遠隔面談システム、Web展示会などの仕組みを組み合わせたリモートワーク対応型の営業・採用支援サービスも開発した。コロナ禍での企業支援ができるサービスとして幅広く提案したい。

 -今後の事業の見通しは。

 木村社長 20年6月期売上げは42億円だったが、今後3年でAI事業を大きく伸ばしながら配信事業を堅実に成長させ、23年6月期に売上げ100億円を目指そうとしている。ライブ配信を軸にAIへつなげていく計画だ。