2020.08.31 【ソリューションプロバイダ特集】富士通ビー・エス・シー 岡浩治社長

唯一の価値を提供する企業へ

 富士通ビー・エス・シーは、SIとエンベデッド(組込みシステム)、ソリューションの3事業を主軸に、唯一の価値を提供できる「オンリーバリュープロバイダー」を目指している。

 社長に就任した4月、この目標を全社員で共有。同じ月に、組織の役割と責任を明確化することを目的に事業本部を四つに整理し、本部長が執行役員を務める体制とした。第一システム事業本部では、官公庁や行政向けに電子政府や電子自治体を実現するICTシステムなどを提供。金融分野では、銀行の勘定系システムを中心に実績を積み上げてきている。

 第二システム事業本部では、キャリア向けに料金システムや顧客管理システムのほか、エネルギー事業者向けに設備管理システムや課金システムなどを提供している。

 エンベデッドシステム事業本部でターゲットとする主な分野は、自動車や医療、5G(第5世代移動通信システム)などの通信だ。これらの組織では、安定的な収益基盤を確立する役割を担い、プロジェクトの生産性向上と品質確保に一段と力を入れていきたい。

 足元の受注環境をみると、製造業が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている。特に自動車向けエンベデッドの案件は下期に向けて減速する傾向にあるが、従来型の営業活動からオンライン上の展示会やプロモーションに転換することで、難局を乗り切りたい。

 コロナを機に訪れた「ニューノーマル(新しい日常)」時代に新たな商機が広がるとみている。デジタル系やソリューション系をカバーする第三システム事業本部は、将来に向けた布石を打つ役割を担い、新しいビジネスモデルの創出に挑む。

 富士通グループはデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の推進に力を入れており、その一端を担いたい。そのためには「小回りが利き手を動かせる」という機動的な会社でなければいけない。

 DXのニーズに即応するため、より早くシステムを構築し改良を重ねる「アジャイル」型の開発に力を入れていきたい。