2020.08.31 【ソリューションプロバイダ特集】東芝情報システム 渡邉一正社長

研究開発など競争力の強化に力

 19年度業績は、18年度に引き続き好調に推移し、19年度からの中期経営計画を上回る形で推移した。20年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が避けられないが、当初の計画値での着地を目指したい。

 当社は、SI事業、エンベデッド(組込み)事業、LSI事業の3事業を中心に事業展開している。SIソリューションは、基幹システムの構築や個別システムのリプレースなどがずれ込んでいる。エンベデッドソリューションは、世界的に自動車の販売台数が落ち込んでおり、今後、ソフト開発に影響が出てくる可能性がある。LSIソリューションは、NAND型メモリー、CMOSセンサーが堅調だが、米中貿易摩擦などが懸念材料だ。

 20年度後半も、厳しいことを前提に取り組む。収益性の改善など企業努力を図る一方で、短期的な視点でなく、研究開発など競争力強化に引き続き力を入れたい。

 SIソリューションは製造業などの民需系は厳しいが、官公系は景気回復策の前倒しもあり、商談が活発だ。新規参入ベンダーも増え、価格面での競争も厳しいが、民需のマイナスをカバーしたい。また、コロナウイルス対策となる体温測定機能を持つ訪問者受付管理システム、遠隔地の作業者を支援する遠隔フィールド作業支援システムなどに注力するとともに、数年前から力を入れているRPA製品も、導入からサポートまで、トータルに提供できる強みを生かしていく。

 エンベデッドソリューションは、資本提携しているデンソーとの連携などパートナー戦略を強化している。車は、ADAS(先進運転支援システム)からCASEの方向に大きく流れが変わりつつあり、エンベデッドとSIの両方の技術を持つ当社の強みを生かしていく。

 LSIソリューションは、既存顧客に対して生産性向上や品質改善に向けた取り組みを継続することで信頼関係の強化を図っていく。一方、LSI設計・評価だけでなく、エンベデッド、SIとの連携による付加価値のある提案によって新規顧客を開拓していく。