2020.09.15 【関西エレ産業特集】セットメーカーウィズコロナで新事業を創出へ

 新型コロナウイルス感染症拡大は、関西地区の電機メーカー各社の経営にも大きな影響を及ぼした。新型コロナの影響による巣ごもり需要の拡大により販売が伸びる商品・サービスもあり、大きな落ち込みに至らなかったメーカーもあるが、総じて厳しい経営環境にあることは間違いなく、今後コロナ後も見据え、新たなサービス・商品の創出を目指す動きも加速してきた。

 各社の第1四半期業績は、ウイズコロナ時代の新たなニーズに対応した商品・サービスが好調だったメーカーもあれば、新型コロナの影響をもろに受けている業種、例えば自動車向けの事業を持つメーカーなどは、やはり大きなマイナスを強いられた。

 大手のパナソニックでは、世界的な新型コロナの影響に伴う市況悪化と事業ポートフォリオ改革による住宅関連事業の非連結化などで、売上げ、利益とも大きく落ち込み、最終赤字に追い込まれた。

 新型コロナ影響による減収額は3500億円で、車載、家電、アビオニクス事業での影響が大きく、これに伴う減益影響額も800億円となった。

 ただ、「6月以降は回復が見え、黒字化しており、通期でも緩やかに回復していく」(梅田博和取締役常務執行役員CFO)見込みだ。

 今期については、アビオニクス、住宅、自動車関連が下期にも影響が残る見通しだが、20年度は「固定費削減や構造的赤字事業への対策など経営体質の強化、車載事業の収益改善、事業ポートフォリオ改革の推進に取り組む」(同)方針だ。

 シャープは、新型コロナによる販売面での影響はあったものの、19年度第4四半期に比べて売上げ、利益は伸び、最終損益は黒字化した。

 「販売面での影響は大きかったものの、中国の生産拠点はじめ、サプライチェーンはおおむね早い段階で正常化しており、販売面で新型コロナの影響が大きかったビジネスソリューションを除き、各事業の業績は着実に回復している」(野村勝明代表取締役社長兼COO)と話す。

 巣ごもり需要で白物家電を含むスマートライフの売上げは好調だった。「清潔・健康意識の高まりを背景に、巣ごもり需要関連で、調理家電、空気清浄機といった空調関連、プラズマクラスター商品群などが健闘した」(同)という。

 ウィズコロナ時代において、8K、第5世代高速通信規格5G、AIoTといった強みの技術を生かし、新事業創出も図りながら成長を目指す。

 空調世界トップのダイキン工業は、新型コロナの影響は受けたものの第1四半期は当初計画を上回るペースで推移した。新型コロナの影響がどうなるか詳細に検討を重ね、綿密な実行計画を組み立てて、影響を最小限化させた。

 新型コロナで、むしろ空調事業においては、在宅時間が増えたことから空気質への関心が世界的に高まり、住宅分野の業績は好調に推移。今後は攻めの戦略も加速させながら、計画を上回る業績伸長を目指す方針だ。