2020.09.15 【関西エレ産業特集】ローカル5Gを普及促進関西でフォーラム立ち上げ

富士通のローカル5G基地局とアンテナ富士通のローカル5G基地局とアンテナ

 今年3月、いよいよ5G(第5世代高速通信規格)の商用サービスが始まった。「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」を特徴とし、Society5.0時代を支えるICT基盤として遠隔医療、スマート工場、自動運転など多分野での活用が期待でき、社会や暮らしの進化を大きく促す。

 5Gのスタートと合わせ、新たに4.6-4.9ギガヘルツおよび28.2-28.3ギガヘルツの周波数を使用する「ローカル5G」もスタート、まずは28.2-28.3ギガヘルツの100メガヘルツ幅について、昨年12月24日に制度化された。

 ローカル5Gは、地域や産業の個別ニーズに応じて地域の企業や自治体などが、無線局免許を取得し、自己の建物内や敷地内でスポット的に構築できる5Gシステム。

 このローカル5Gを関西エリアにおいて今後、普及促進につなげようと、今年7月に「近畿ローカル5G推進フォーラム」(座長=三瓶政一大阪大学大学院教授)が立ち上がった。

 地域社会・経済の課題解決に向け、最適なローカル5Gの導入促進につなげていく。

 座長の三瓶教授は「人とコロナを分離することで経済の冷え込みを抑えることが重要だ。人の動きを制限したとしてもビジネスを動かすことができるのがローカル5Gの大きな特徴」と話す。

 また、座長代理の原田博司京都大学大学院教授は「公衆網以外に自営網でも5Gが使えるようになったのがローカル5Gだ。世界に例がない関西モデルをつくりたい」考えだ。

富士通の取り組み

 ローカル5Gに先行して取り組む一社が富士通グループだ。

 富士通は今年3月、国内で初めて商用のローカル5Gの無線局(基地局・陸上移動局)免許を取得した。

 同社の拠点・富士通新川崎テクノロジースクエア(川崎市幸区)でのローカル5Gシステムの運用を行い、スマートファクトリーでの有用性を検証していく。

 拠点内において多地点カメラで収集した高精細映像のデータ伝送にローカル5Gを活用し、AIによる人の様々な動作解析で、不審行動などを早期に検知するセキュリティシステムを実現、建物内の防犯対策の強化に貢献する。

 また、ケーブルメディアワイワイ(宮崎県延岡市)向けに、グループの富士通ネットワークソリューションズ(FNETS)、富士通がスマート工場の実現および地域課題解決(スマート農業、防災減災など)の実証実験で活用するローカル5G検証システムの構築を図り、10月から稼働するほか、関西学院大学と富士通で5Gを活用した遠隔教育の実証実験を行うなど、着々とローカル5G普及に向け、システム構築・運用支援実績を積み重ねている。

 富士通では「ローカル5Gは柔軟な通信エリアづくり、セキュアな通信手段の確保など長所は多く、技術的な可能性は大きい。デジタル革新の加速をもたらす可能性が高い」(5G Vertical Service室の宮本共殖シニアマネージャー)と話す。

 富士通グループは、近畿ローカル5Gフォーラムにも参画し、地域課題解決型のローカル5G推進に向け、関西エリアでの普及にも力を入れる。

 「グループの総合力、経験を生かし、強みのあるソリューションを提供していく」(同)方針だ。