2020.09.18 【ASEAN特集】イリソ電子工業能力増強よりもコスト低減重視

イリソ エレクトロニクス ベトナム外観

塩屋 GM塩屋 GM

 イリソ電子工業は、ハノイ地区に製造子会社「イリソ エレクトロニクス ベトナム」を展開。車載用を主力に、ボード・ツー・ボード・フローティングコネクタやFPC/FFCコネクタを生産し、生産性向上に全力を挙げている。

 同工場は08年に操業を開始。当初は民生機器向けを主力に生産していたが、ここ数年は車載用ボード・ツー・ボードコネクタを中心に大きく生産規模を拡大。特に同社の強みであるフローティングコネクタで実績を上げている。

 19年度(20年3月期)後半以降、世界的な自動車市場低迷で需要がスローダウンしたため、「20年1-3月期より生産効率をもう一段上げるためのプロジェクトに着手し、単位面積当たりの生産性をより意識した活動を進めている。各設備の生産性を改善し、タクトタイムを0.1秒でも改善すべく取り組んでいる」(塩屋俊作GM=ゼネラルマネージャー)。

 同工場は、プレス、成形、めっき、組み立てを同一建屋内で一貫生産する自社完結型工場。量産金型の設計も行う。組み立ては全てクリーンエリアで実施。昨秋には成形機を増設し、成形能力を1割強向上した。今年度は放電加工(EDM)も内製化する計画で、部品調達コスト抑制につなげる。

 今春には新型コロナに伴う各国の自動車工場操業停止で車載用売上げが急減したが、8月以降は回復基調。一方、テレワーク需要でプリンタ用のFPC/FFCコネクタの生産が好調で「製品によっては過去最高水準となっている」(塩屋GM)。

 今後について、塩屋GMは「当面は能力増強よりもコスト低減を重視する。同時に、将来に向け、より高難度の製品への対応力を付けていく。コロナ禍による需要停滞をチャンスと捉え、今だからこそできる改善に取り組み、次の回復期につなげる」と話す。

 改善活動の重点テーマは「セーフティ」と「QCD」。人材育成も強化する。将来的には戦略製品の「Z-Move」の量産も視野に入れる。