先人たちの知恵を未来に伝える

　電波新聞社は今年、創立70周年を迎えました。当社が専門新聞社として今に至ることができたのは、ひとえに皆々さまのお心のこもったご指導、ご支援のたまものであり厚く御礼申し上げます。

　創業当時の昭和25年という年は、今日では想像もできない環境だったそうです。エレクトロニクス業界を代表する製品はラジオでしたが、朝鮮戦争の勃発、金融の引き締めなどが重なり、ラジオメーカーが倒産や廃業で半分以下に減る厳しい時代でした。

　このような荒廃した時代の中で電波新聞社の歴史は始まりました。エレクトロニクス業界から寄せられた期待に、大きな使命感をもって立ち上がったのです。

　当社は創業当初、太平洋戦争で研究や生産が中止されていた三種の神器といわれる白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機や、戦中・戦後に開発されたコンピュータなどの情報を国内外に届け、日本のエレクトロニクス業界のグローバル化に貢献しました。

　その後、日本のモノづくり技術を生かした家電は、オイルショックやドルショックなどの影響を受けながらも、AV時代の到来および輸出の伸長によって飛躍的に拡大しました。

　平成に入ってからの世界経済は、バブル経済・ITバブルの崩壊に加えリーマンショックにより打撃を受けましたが、日本のエレクトロニクス業界は、組織やグループ企業の再編、M＆Aなどに取り組みつつ構造改革を進め、栄枯盛衰の時代を歩んできました。

　そして今、IoTで得られたビッグデータを基に、AIやロボットが活躍する持続可能な人間中心の社会が未来に向けて動きだしています。

　この70年間、当社は躍動する業界の姿を報道の立場から見届け、業界と共に歩んでまいりました。これまでの足跡ともいえる積み重ねられた過去のデータは、先人たちの知恵として生かしていく必要がありますが、未来に向けては、これから得られる先見性と指導性に満ちた情報とともに提供し続けなければなりません。これらが電波新聞社の使命だと考えています。

　くしくも現代社会は、大規模な気候変動による自然災害や新型コロナウイルスという目に見えない敵との戦いを強いられており、70年前と同様に世界情勢が目まぐるしく変化しています。

健全な発展にまい進

　このような状況においても電波新聞社は、エレクトロニクス業界だけではなく社会の健全な発展のために、まい進してまいります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。