2020.11.06 【CEATEC AWARDの受賞技術①】総務大臣賞理研と富士通のスパコン「富岳」

総務大臣賞を受賞した「富岳」

世界No.1の性能と利便性

 理化学研究所(理研)と富士通が共同開発しているスーパーコンピュータ「富岳」が、CEATEC AWARD 2020で、最高位に位置付けられる「総務大臣賞」を受賞した。

 CEATEC AWARDは学術的・技術的観点、市場性や将来性などの視点から、イノベーション性が高く優れていると評価できるものを表彰している。中でも総務大臣賞は、Society5.0の実現に最も寄与する案件が対象。今年はニューノーマル時代のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)による高付加価値化の促進に加え、世界的にまん延する新型コロナウイルス対策への貢献などが高い評価につながった。

 受賞理由として「富岳がシステムとアプリケーションを協調的に設計するCo-design(コデザイン)によって開発され、世界ナンバーワンの性能および高い電力効率と、ユーザーの利便性・使い勝手の良さを両立し、画期的な成果の創出を導くなど、世界のほかのシステムに対して総合力で卓越するシステムである点」が挙げられた。

 富岳は、これまでに多くの輝かしい成果を上げている。世界のスーパーコンピュータの性能ランキングである第55回「TOP500」で第1位を獲得したほか、「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」の各性能ランキングにおいても2位以下に大きな差をつけての第1位を獲得し、世界初となる同時4冠を達成。2位の米「サミット」や中国製スパコンに対し、性能差で2倍から4倍以上の大差をつけた。日本のスパコンが、世界一を奪還したのは、スパコン「京」以来8年半ぶり。

 富岳は京の最大100倍の高速性能を備えるが、スマートフォンやIoT機器で広く使われているArmアーキテクチャやOSにLinuxなど業界標準を採用しているのも大きな特徴といえる。

 スパコン性能世界1位獲得の会見で、理研の松本紘理事長は「輝かしい成果だ。まだまだパフォーマンスを上げる余地があり、Society5.0に貢献したい」と喜びを語った。富士通の時田隆仁社長も「日本の技術力、モノづくりの強さを世界に示すことができた」と述べている。

 現在、21年度の供用開始を目指して開発・整備中。試行的に一部の計算資源(ノード)が新型コロナウイルス対策の研究や成果創出加速プログラムで利用されており、コロナウイルスの飛沫(ひまつ)の状況分析では極めて多大な貢献が見られた。

 今後もSociety5.0実現のための中核プラットフォームとしてAI(人工知能)やビッグデータ処理、クラウド的利用などに関するソフトウエア開発や環境整備が進む見通し。スパコンを活用したイノベーションが期待されるライフサイエンス、エネルギー、製造、環境などの分野で利用拡大が進み、産業力強化につながることが期待されている。