2020.12.16 【わが社のヘルスマネジメント】クリエイティブテクノロジー(川崎市高津区)栄養にこだわり、「まかない」提供

戸上 部長戸上 部長

ケータリングを利用した本社のまかないの様子。栄養バランスが取れた献立にこだわるケータリングを利用した本社のまかないの様子。栄養バランスが取れた献立にこだわる

まかないは、残業の有無にかかわらずパート・派遣社員を含む国内全従業員を対象とした取り組みに拡大したまかないは、残業の有無にかかわらずパート・派遣社員を含む国内全従業員を対象とした取り組みに拡大した

 従業員の健康への投資が企業の業績向上につながる-、そんな「健康経営」に取り組む企業が増えている。このコーナーでは、各企業の健康経営に関する着眼点や従業員への思いを紹介していく。初回はクリエイティブテクノロジー(川崎市高津区、辰己良昭社長)の「まかない」。きっかけは、若い独身社員の食生活を案じた辰己社長の思いだった。

 同社は半導体製造装置に用いる静電チャックの開発・製造などを手がけている。本社を中心に宮崎県、京都府、三重県、熊本県に拠点を持つほか、韓国、台湾、米国、シンガポールにグループ会社がある。

 まかないは15年4月から、残業する社員のために本社で始めた。広報部の戸上登記子部長は「残業する社員がコンビニの揚げ物やカップ麺をよく食べていた。独身の若い社員も多く、外食で栄養が偏りがち。見かねた社長が『まかないをしてはどうか』と発案した」と説明する。

 まかないとして週2回、総菜屋のケータリングを提供する。アジの南蛮漬けや八宝菜など、野菜を含み栄養バランスが取れた献立にこだわる。戸上部長は「当初は残業する社員のためにスタートしたが、おいしそうな料理を見た他の従業員から『私も食べたい』との声が。私も本社へ出張した際に口にしておいしさに感激し、是非、ほかの拠点にも取り組みを広げたいと強く思った」と振り返る。

 同年11月には残業の有無にかかわらずパート・派遣社員を含む約130人を対象とした国内全拠点での取り組みに拡大した。

 本社以外の4拠点では京都の総菜ブランドの食品パックを配布する。各拠点に大型冷蔵庫を新設し、全員分のまかないを保管できるようにした。パックはちょうど食べきれる一人分の量に小分けされており、昼食として社内で食べる人もいれば、自宅に持ち帰って晩酌のお供にする人もいる。薄味の総菜は従業員からも評判だ。

 正月には、全従業員宅へおせち料理を配達している。おせちを手作りする家庭が減り、帰省できない人もいる中、日本の伝統を味わってもらおうとの思いがこもる。

 同社は生産体制強化のため、近く滋賀工場の稼働を開始する予定。「滋賀工場は近隣に飲食店がない立地環境のため、工場内で従業員が食事できるよう、当社で調理師を雇用する方針だ。食材にこだわった料理を従業員に食べてもらいたい」(戸上部長)という。

 食生活に限らず、従業員の心身を気遣った様々なサポートを行っている。「社長が先頭となって従業員が働きやすい環境づくりに励んでいる。年間休日や時間外手当などの条件面はもちろん、従業員が気持ちよく働ける後方支援も重要。『元気にいってらっしゃい』と子どもを送り出す母親のような気持ちで従業員をサポートしていきたい」と戸上部長は話す。