2020.12.21 日本精工、 CMS事業拡大へ英企業M&Aで高成長、高収益見込む
内山 社長
日本精工は、設備や製造ラインの予知保全や生産性向上を実現するコンディション・モニタリング・システム(CMS)事業を拡大するため、英国のスペクトリス社が展開する同事業の譲渡契約を結んだ。
内山俊弘社長は「グローバルな製造業、装置産業ではIoT、AIなどデジタルデータを活用して最適稼働状態を安定的に作り出すことが求められる。設備の稼働状況を常時監視して、膨大なデータをAIによって分析し、計画保全や故障予知、さらには生産性向上や品質改善につなげるCMSは市場としての高成長と高収益が見込まれる」と期待をかける。
同社は第6次中期経営計画(19-21年度)において、成長への新たな仕掛けとして「CMS事業の構築」を掲げている。
具体的には、故障診断・余寿命診断の技術サービスを起点に、設備が抱える問題点、課題のソリューションを提供するコト売り事業にまで展開し、幅広い産業の発展へのさらなる貢献を目指した研究開発と事業開発を進めている。
スペクトリス社は1915年設立のロンドン証券取引所上場企業。高度な精密機器、制御機器、科学分析器などの製造・販売をグローバルで行う。グループにCMS事業を展開するブリュエル・ケアー・バイブロ(BKV)社を擁している。
BKV社は、回転機械のCMS市場の草分け的な世界的大手サプライヤ。独自の振動センサー(加速度、速度、変位)、振動モニター、ソフトウエア、プラント全体のオンライン統合監視ソリューションなどの包括的なサービスを「BKV事業」として提供し、世界の石油化学コンビナート、発電プラント、風力発電などで広く活用されている。
日本精工はBKV社を買収するとともに、親会社のスペクトリス社が展開する、BKV社以外のCMS関連事業も含めて譲受する。買収価格は、約1億6900万ユーロ(約211億円)。
内山社長は「当社の軸受をはじめとする主力製品は、設備の機能・性能を支える重要部品であり、これまでに蓄積した豊富なデータ・技術・知見は予知保全を実用化するための鍵となり得る。BKV買収で、当社CMS事業構築のプラットフォーム(土台)とし、モノからコト売りへの変革を推進する」と述べる。
BKV社のマルセル・ファン・ヘルテンCEOは「両社のシナジー効果が見込めるのは確実であり、両社の人材と知識を組み合わせることで、お客さまに革新的なソリューションを提供していく」と述べている。