2020.12.25 新型コロナウイルス不活化効果を確認日亜化学が280ナノメートル深紫外LED用いた実験

NCSU334B

 【徳島】日亜化学工業(徳島県阿南市、小川裕義社長)は、同社の280ナノメートル深紫外LEDを用いた実験において新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化効果(99.99%)を確認したことを明らかにした。

 実験は、徳島大学大学院医歯薬学研究部野間口雅子教授および駒貴明助教が行い、新型コロナウイルスに対して、30秒の紫外線照射で99.99%の不活化効果を確認した。

 新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価(経済産業省)は除去効果について、99.99%以上の感染価減少率を目安として判断している。

 感染症防止対策として推奨されている手洗いなどの殺菌効果は▽流水で手洗いを行った場合は15秒で99%程度▽一般的な消毒用アルコール(エタノール濃度77-81%)を用いた場合は30秒で99.99%とされる。しかし、流水でより高い除去効果を得るには十分なもみ洗いが必要であり、また、消毒用アルコールを用いる場合は対象物に十分量のアルコールが接触することが必要で時間や手間を要する。

 今回、深紫外LEDを用いることにより、短時間で手間をかけずに高い殺菌効果を期待できることが分かった。照射時間30秒で99.99%の不活化効果が得られ、10秒では98.42%、5秒では93.28%だった。

寿命、265ナノメートル品の10倍

 同社では280ナノメートル品の推定寿命を約2万時間、265ナノメートル品を約2000時間と見込んでおり、280ナノメートル品の寿命は約10倍。紫外線LEDは波長が短くなると出力、寿命などの性能が低下し、電力変換効率(WPE)が極端に低くなる特性があり、これが280ナノメートル品の高い出力と長寿命につながっていると考えている。今回、殺菌パワーが高くなるポイントと寿命を考慮し、280ナノメートルの波長を用いて不活化実験を行うこととした。

 実験のために試作したハンディUV照射機は徳島県に20台、徳島大学に30台を寄贈する。「充電式で持ち運びも非常に容易であるため、アルコール消毒ができない箇所や共同スペースでの除菌などに活用してほしい」(同社)という。

 同照射機には深紫外LED「NCSU334B」を25ミリメートル間隔で12個搭載。LEDのピーク波長Typ. 280ナノメートル、放射束Typ. 70mW、電力変換効率(WPE)3.6%と、いずれも業界最高(同社調べ)を達成している。

 同社は、より殺菌効果の強い高出力の深紫外LEDの開発に今後も注力し、新型コロナウイルスに打ち勝てる深紫外LEDが様々な製品に採用されることを通じて社会に貢献していく。