2021.01.08 1都3県に再び「緊急事態宣言」 総合電機各社、テレワーク徹底など出社率抑制に取り組む
新型コロナウイルスの感染が全国で広がり、総合電機各社は在宅勤務を含むテレワークの徹底など、感染リスクを低減する取り組みを強化し始めた。政府が7日、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を対象に「緊急事態宣言」を再発令したことを踏まえた措置。コロナの影響が読み切れない中、手探りの対応が続きそうだ。
出社率15%以下を目標
日立製作所は緊急事態宣言の再発令を受けて、出社率を1都3県で15%以下に抑える目標を掲げた。対象は日立本体の従業員約2万2000人。昨年春の宣言解除後も在宅勤務を強化しており、現在の出社率は3割前後。目標の設定により、通勤時や社内での社員同士の接触を減らす対応を徹底したい考えだ。
1都3県に日立本体の工場はない。1都3県で勤務するグループ企業の従業員についても原則として在宅勤務とし、出社は週1、2日を上限とする目安を設定。宣言の対象外の地域ではこれまで通り「可能な限り在宅勤務」とする。
東芝は、工場を含め国内グループ全社員約7万6000人を対象に出社率を5割以下に抑える目標を目安としていたが、宣言の再発令を受けて「必達」に格上げ。感染リスク軽減の観点から1都3県での懇談会も、公私ともに「禁止」に格上げした。
三菱電機は宣言の再発令に先立ち、1都3県にある事業所で出社率を30%以下に抑制するよう社員に通知。改めてテレワークの活用を促すことにした。これまでも3割を出社率の目安としていたが、感染拡大を受けてこれを強化。加えて、プライベートを含め宴会や懇親会の自粛を求めるほか、1都3県を発着地とする出張は原則自粛にする。一方、工場は感染防止対策を徹底した上で稼働を継続するという。
富士通は、昨年5月の宣言解除後も出社率を最大25%に抑える方針を示し、約8万人の国内グループ社員を対象に在宅勤務を含めたテレワークを徹底してきた。7月以降の平均出社率が10%後半から20%の間で推移していることから、この取り組みを継続。感染リスクの低減に向けた意識の再徹底を図りたい考えだ。
スーパーフレックス採用
NECは、国内で働くグループ社員約6万人が在宅勤務できる環境を整えており、前回の宣言以降は工場などを除く主要拠点の出社率を2割程度に抑えてきた。宣言の再発令を受け、在宅勤務をより進めることを社内で徹底。勤務形態についてはコアタイムのない制度「スーパーフレックス」を採用しており、引き続き柔軟な働き方を推進していく方針。
シャープは、昨年から継続的に実施している感染予防・拡大防止施策を各事業の職場状況と照らし合わせながら実施する。在宅勤務や時差出勤のほか、職場では個人のマスク着用やパーテーション設置などの対策を促進。オンライン営業や直行直帰などの徹底も図っていく。
ソニーは本社を中心に出社率を30%程度に抑えるよう、引き続き在宅勤務を徹底する。さらに、業務後の会食自粛の周知に努めるほか、リモート会議などを推奨する方針だ。
パナソニックは、1都3県でITツールなどの活用を促進。人との接触や移動が最小限となるよう最大限に注意を払いながら、事業活動を継続する。在宅勤務が可能な職場は原則在宅勤務。出張については原則自粛で、出張先が首都圏外の場合は原則禁止とした。
出勤者数7割減を
菅首相が呼び掛け
菅義偉首相は7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対策本部の会合を開き、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく緊急事態宣言の再発令を決定し、記者会見を開催。会見で菅首相は、首都圏でのコロナ感染の深刻化を踏まえ、「感染を減少傾向に転じさせたい」と決意を述べた。働き方改革にも言及し「昨年来定着しつつある新しい働き方をさらに進め、テレワークを強力に推進したい」と強調。加えて「出勤者数の7割減をぜひお願いしたい」と、国民に呼びかけた。
宣言の期間は1カ月。