2021.01.22 【照明総合特集】トップが語る21年事業戦略岩崎電気 伊藤 義剛代表取締役社長
伊藤 社長
殺菌事業を50億円規模に 新規事業の立ち上げも急ぐ
昨年の照明市場は前年比1割減といった状況で、新型コロナウイルスの影響を受けて全体的に厳しいと言える。当社も国内外の事業で影響を受けている。ただ、米国は構造改革が完了していたことから、それほど影響を受けていない。
照明事業が苦戦する一方で、光・環境事業は、コロナ禍で紫外線除菌関連の需要が急速に高まったことで、当社の空気循環式紫外線清浄機「エアーリア」の販売が伸びている。昨年11月には増産体制を整えるとともに、新製品も開発し、ラインアップ拡充を進めている。スポーツクラブやフードコート、ホテル、待合室など、様々な用途で導入・検討が進んでいる。
これまで当社は、殺菌事業に長く取り組んできた。基本的にはお客さまの困り事に個別対応するようなニッチなビジネスで、年間10億円程度の売上げだった。それが新型コロナの感染拡大でニーズが拡大し、個別対応が増えるとともに、エアーリアのような据え置き型製品の引き合いも急増した。今年度は20億円程度まで殺菌事業の売上げは伸びそうだ。
今年の市場環境は、コロナ禍で引き続き厳しい状況になると見ている。照明は、当社が強みを持つ公共事業関係でトンネル照明や道路灯をはじめとする交換需要を捉えていく考えだが、景観照明の需要が急激に減るなど、マイナスの影響も小さくない。
ただ、厳しい中でも公共事業は継続されているため、ここを基点に照明も伸ばしていきたい。地方自治体で道路灯などの屋外照明が見直されるタイミングで、LED化の商機をしっかり捉えていく。
合わせて、新規事業の立ち上げを急ぎたい。照明事業の軸はぶれさせずに、新たな収益の柱を育てる必要性が高まっている。新規事業ではスピードも重視し、M&A(合併・買収)も検討していく。
今年はここに、殺菌事業が一層貢献してくるだろう。エアーリアの増販をさらに推し進めるとともに、様々な分野で紫外線を使った除菌・殺菌ソリューションを提案していく。殺菌事業は中長期的な視点で強化していく計画で、50億円規模の事業に成長させたい。