2021.02.02 【コネクタ特集】製品動向自動車用コネクタ、進化に照準合わせ技術駆使
Z軸可動フローティングタイプコネクタ
コネクタメーカー各社は、自動車市場を中長期の事業拡大のための最重点市場の一つに位置付けている。各社は、「CASE」「MaaS」といった自動車業界のメガトレンドを背景とした車の進化に照準を合わせ、高速伝送・高周波技術や高精細画像伝送技術、防水技術、小型・高信頼性技術などを駆使した車載用コネクタ開発を強化している。
ADAS/自動運転を支える重要なセンシングデバイスである車載カメラは、車1台当たりの搭載数量増加とともに、製品の高性能化が進んでいる。最近の車載カメラは、従来の標準だった30万画素タイプ(VGA)から、100万画素クラスへの切り替えが進みつつあり、ADAS/自動運転を支える高速デジタルセンシングカメラへの進化が加速している。
コネクタ各社は、こうした車載カメラの技術進化に照準を合わせた車載カメラモジュール接続用コネクタや、カメラECUインターフェイス用コネクタなどの技術開発を強化。高画質の車載デジタルカメラで要求される3ギガbpsなどの高速伝送性能を実現しつつ、小型・高性能で防水性にも優れた製品開発に力が注がれる。
自動運転車向けセンシングカメラは、将来的には3メガピクセル、10ギガbpsなどへの進化が予想され、これらに向けてPOF(プラスチック光ファイバ)コネクタの製品化も視野に入れられている。
自動走行レベル3以上の自動運転車で必須とされるLiDAR(ライダー)についても、多数個使用のための小型化追求が要求されており、対応コネクタにも小型化が求められている。ミリ波レーダー用コネクタに関しても、次世代に向け、さらなる小型化と防水性能向上が求められている。
車載高速伝送系コネクタでは、車載用HSD(ハイスピードデータ)コネクタやFAKRA(ファクラ)規格準拠コネクタ、USCARコネクタなどの製品開発やラインアップ拡充の取り組みが活発。
今後、搭載の本格化が期待される車載イーサネット用コネクタへの参入メーカーも増加している。車載イーサネット用は、通常のイーサネット用と比較して極めて高い信頼性が要求されるため、高度な技術開発が進められている。
EV/PHVなどの電動車用では、車載インバータやモーター、バッテリ回りに使用される大電流/高耐圧対応製品の開発が活発。定格電圧850Ⅴ対応品などが開発されている。
エンジンルーム周辺などでの使用用途向けに、125度/150度対応などの高耐熱FPCコネクタ開発も活発となっている。
走行時の厳しい振動環境に対応するため、車載用フローティングコネクタの開発も活発化しており、Z軸可動フローティングタイプコネクタの実用化も進んでいる。
EVやPHVの本格普及では、1充電当たりの走行距離向上が重要な鍵を握る。このためEV用部品には、従来のガソリン車以上に搭載部品への軽量化ニーズが強く、コネクタ各社は既存の車載コネクタの軽量化の追求にも力を注いでおり、小型・軽量タイプの車載ECU用コネクタなどの開発が進展している。