2021.02.02 【コネクタ特集】製品動向携帯端末用コネクタ、小型・高性能化品開発に注力

0.3ミリピッチ電源端子付き基板対基板用コネクタ

 コネクタメーカー各社は、スマートフォンやタブレット、ウエアラブル機器などの携帯機器向けの小型・高性能コネクタの開発に力を注いでいる。

 最近の世界のスマホ市場は、台数成長が鈍化する一方で、端末の高機能化が一段と進んでいる。高密度実装化に伴う搭載部品への小型化要求は継続しており、急速充電や完全防水に関するニーズも強い。

 コネクタ各社はこれらのニーズを踏まえ、次世代携帯端末向けの内部接続用微細コネクタやインターフェイスコネクタ、大電流対応コネクタなどの開発を活発化させている。

 内部接続用コネクタは、基板対基板コネクタやFPC接続用コネクタの一層の小型・高性能化が進む。基板対基板コネクタは、0.4ミリ/0.35ミリピッチの狭ピッチ品を中心としたバリエーション拡充が進み、嵌合高さ0.5ミリメートルの超低背構造の0.4/0.35ミリピッチ基板対基板コネクタなどが開発されている。最近では、0.3ミリピッチ基板対基板コネクタも一部の高級スマホで実用化され、参入メーカーが増加している。

 FPC接続用コネクタは、0.3ミリピッチFPCコネクタの低背化や省スペース化の追求とともに、より狭ピッチ化を追求した0.25ミリ/0.2ミリピッチ品の開発も進展している。千鳥形状の0.175ミリピッチFPCコネクタなども開発されている。

 第5世代高速通信規格5G対応モバイル機器向けでは、マルチRF対応の基板対基板コネクタによる、セットの小型化と生産性向上への貢献などが提案されている。

 最近のハイエンドスマホは、市場ニーズを反映し、搭載バッテリの大容量化が進んでいるため、バッテリ以外の端末内蔵部品は、コネクタを含め、一段と小型化要求が強まっている。コネクタの狭ピッチ・低背・省スペース化では、接触信頼性や機械的強度、作業性などの面で従来品と同等性能を確保できる設計が不可欠となる。

 スマホ向けデジタルインターフェイスコネクタでは、スマホの急速充電用の給電規格「USB PD(パワーデリバリ)」への対応や、次世代高速規格「USB3.0(最大データ転送速度5ギガbps)/3.1(同10ギガbps)」に対応した製品開発が進んでいる。これらに対応する新世代I/Oとして、「USBタイプC」規格準拠コネクタの開発やバリエーション拡充の動きが活発となっている。

 USBタイプCコネクタは、最大10ギガbpsの高速伝送対応、最大5Aの大電流供給、プラグの表裏を気にせず挿抜できるリバーシブル嵌合などが特徴。スマホやPCのほか、カーナビや産業機器など様々な機器での普及が期待されている。

 スマホの防水要求の高まりに対応し、従来比で防水性能を高めた外部インターフェイスコネクタや防水ジャックなどの開発の動きも盛ん。

 ウエアラブル機器用では、スマートウオッチやスマートグラス、ワイヤレスヘッドホンなどの各種ウエアラブル機器向けに、既存の携帯機器向け内部接続用コネクタを改良した、超小型・少極タイプのコネクタ開発などが進んでいる。