2021.02.24 【複合機&プリンタソリューション特集】MPS出力環境を見える化へガバナンスとセキュリティが鍵
コロナ禍で最適なオフィス環境が求められている
新型コロナウイルスの感染拡大で、オフィスの在り方、働き方の見直しが進む。企業のIT環境、プリンティング環境を改善するマネージドプリントサービス(MPS)が今、注目されている。
MPSは、オフィスのプリンティングなど出力環境を見直して、最適な出力環境を構築、運用するアウトソーシングサービス。欧米など海外では早くから普及していたもので、国内でも成長市場と期待がかかる。
しかし、昨今のコロナ禍でオフィス環境は一変。企業のプリントボリュームの減少に伴い、MPSの市場動向にも変化が表れた。一方でIT環境はますます複雑化し、この中でTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)を下げていく必要性がむしろ高まっている。
国内トップシェアの富士ゼロックスの小松誠エンタープライズドキュメントソリューション事業本部サービス推進グループ統括グループ長は「昨年の6月を底に、需要が戻ってきた。直近ではほぼ昨年並み。予想以上に戻りが早い」と話す。この要因について「IT環境が複雑化する中、オフィスのIT環境を整備し、総合的にパフォーマンスを上げていくニーズは強い」と分析する。
鍵を握っているのがガバナンスとセキュリティだ。MPSによって「出力環境を見える化し、ガバナンスやセキュリティ環境を強化していくことがニューノーマル時代には強みになる」(小松統括グループ長)と見る。
国内のMPS市場では、富士ゼロックスが約6割の高いシェアを持つほか、リコー、キヤノン、コニカミノルタなども力を入れる。
キヤノンマーケティングジャパンの岡田大地課長代理(BPO統括センターBPO企画部BPO企画第二課)は「MPSビジネスは、企業の出社率とも関係するが、これからは在宅を含めたITの稼働状況の分析が重要になる。MPSと働き方改革の連携でTCOの削減が求められる」と述べ、ITツールなどを活用して企業を支援していく。さらに、企業の業務を受託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)にも注力する考えだ。
富士ゼロックスは次世代型MPS「Next Generation MPS」で、省エネ大賞の経済産業大臣賞を受賞している。小松統括グループ長は「プリントベースで、企業の業務の効率化、働き方改革を支援していく」と強調する。
リコーは「MPS出力機器見える化サービス」を提供。企画・立案サービスをはじめ、活用・運用設計支援サービス、構築・維持支援サービス、さらには情報収集・分析まで、多彩なMPSのサービスメニューを用意し、国内だけでなく、グローバルで事業の展開を図る。
キヤノンは全世界共通のマネージドサービス「キヤノン・マネージド・ドキュメント・サービス」を、また、コニカミノルタは、出力環境最適化サービス「コニカミノルタ OPS」を全世界で提供している。