2021.02.24 【複合機&プリンタソリューション特集】産業印刷大判プリンタ需要拡大、幅広いメディアに対応へ

市場拡大が進む大判プリンタ

大判プリンタで様々な印刷が可能だ大判プリンタで様々な印刷が可能だ

 サイネージや衣料に印刷するテキスタイルなど産業印刷が拡大、これに伴い事業を強化する動きが本格化している。特に大判プリンタ市場は、CAD用途からグラフィック用途などで幅広い需要がある。業界団体のビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)では、大判インクジェットプリンター部会を発足させ、市場拡大に注力している。また、各社では産業印刷事業を拡大するため成長戦略を加速させている。

 セイコーエプソンは、大判インクジェットプリンタ事業の強化を図るため、サイネージ(サインディスプレイ)市場向けSureColorシリーズの新商品を新発売した。同社は、同シリーズ初となる76インチの大判プリンタ3機種を昨年7月末に発売、12月には同シリーズ初となるUVインクを搭載したSCV7000を発売開始した。

 同社では「幅広いメディア対応、高画質と高生産性でサイネージ市場に対応」していく。また、19年度で1000億円超の売上げ規模だった商業・産業インクジェットプリンティング(IJP)事業の売上げ(完成品ビジネス)を、25年度までに2倍以上にすることを目指している。事業領域を大判プリンタによるファインアート、写真などのフォト/プルーフ、CAD、屋内外看板、ポスターなどのサイネージ、布へ印刷するテキスタイル(捺染など)、さらに食品・飲料などへのラベル印刷分野と捉え、成長戦略を推進する。

 キヤノンマーケティングジャパンは、大判プリンタMFPとクラウドストレージを連携する建設・建築業向けのテレワーク環境支援ソリューションとして「図面変換シェアソリューション」を提供する。大判プリンタとクラウドストレージを組み合わせ、紙図面のスキャンからCADデータへの変換、クラウドストレージへの保存を可能にするテレワーク環境支援ソリューションに注力する。

 リコーは、強みとするインクジェットの技術を、衣、食、住など様々な産業用領域に拡大している。幅広い種類のインクに対応するインクジェットヘッドとインクの技術を、ソリューションとしてグローバルに事業展開。サイネージ、テキスタイルをはじめ、ラベル・パッケージ、装飾、加飾など領域を広げている。

 OKIデータは、国内の食品、飲料、物流業界をターゲットに、世界初の幅狭カラーLEDラベルプリンタの販売戦略を強化している。同社独自のLED技術を生かし、インダストリー戦略を強化する。19年の国内のラベル市場は、約6400億円規模。過去5年、年間平均3%の堅調な伸びを見せており、新たな成長分野に位置付ける。

 大判プリンタ分野では、メーカー各社が製品戦略や関連事業を強化する一方、業界団体のビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)では、大判インクジェットプリンター部会を発足させ、業界あげて市場づくりに乗り出している。

 現在、キヤノン、コニカミノルタ、セイコーエプソン、リコー、OKI、ブラザー工業の各社が同部会に参加している。