2021.02.25 事務機メーカー 契約書類の電子化推進顧客のデジタル化を支援

DX化の鍵を握るのが紙の電子化

 事務機メーカーがお客との契約書の電子化を本格化させている。デジタル庁の設置などで今後、契約書や申請書などのデジタル化が進むと見込まれる。デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の鍵を握るのは、紙の存在だ。事務機メーカーは、自社の契約書の電子化を進め、知見・ノウハウを活用して顧客のデジタル化を支援する。

 富士ゼロックスは、お客との契約書などを対象に、DocuSignの電子署名サービスの自社導入を開始した。今後、国内最大となる年間50万契約、3年間150万契約の規模で、電子署名の活用を推し進める。自社での活用ノウハウを生かし、コロナ禍において社会課題となっている押印処理の非効率性を解消することで、お客のDXを強力に後押ししていく。同社は米DocuSign社とパートナーシップを契約、「電子署名クラウドサービス(DocuSign)」ソリューションとして販売している。

 また、米国のロボティクスAI(人工知能)技術を持つリップコード社と「富士フイルムリップコード」を設立、事業を開始した。富士ゼロックスが持つ文書の電子化技術、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)ノウハウと、リップコード社のロボットを使って書類を電子化する技術を融合し、企業のDXを支援する。

 リコージャパンでは、お客との契約締結に関連する一連の業務の電子化を全国規模で開始。販売管理システムにクラウド型の契約システムを連携させ、クラウド上でお客との契約を締結できる体制を構築した。お客との双方の合意に基づき、電子ファイルで作成する契約書を承認することで、契約締結が完了する。特別なシステムの構築は不要で、クラウド上で契約書類の確認・締結が可能だ。

 全国展開に先駆けて昨年11月から4支社(愛知、三重、山口、長崎)に同システムを先行導入した。効果を検証してきたが、「時間の短縮になる」「非対面で契約の締結が行えるため感染対策につながる」といった電子契約を活用したお客からの反応や、同社営業担当者からも「営業活動の効率化につながった」などの声が多く挙がった。「お客さまと自社双方のメリットを確認できた」(同社)ことから、2月から全国支店での導入に踏み切った。

 今後、注文書や検収書、保守契約書、工事注文書などの契約書についても順次拡大する計画。こうしたノウハウをお客のDX化支援の促進につなげる。

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、弁護士ドットコムと、電子契約サービス領域で業務提携。契約内容の検討から承認ワークフロー、契約手続き、契約書の保管・閲覧・検索まで、契約業務プロセスをデジタル化する「契約業務支援サービス」を開始した。

 弁護士ドットコムのWeb完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」を中核に、契約締結業務のデジタル化に加え、ニーズに応じて「契約内容の検討・合意」「社内承認申請」「保管・閲覧」など契約業務プロセス全体のデジタル化を実現。取引先との手続きの簡略化やスピードアップ、印紙代や製本・郵送などの事務手続きの低減など、業務効率化やコスト削減を図れる。

 コニカミノルタジャパンは、他社に先駆けて「紙文書ゼロ化」を打ち出し、成果を上げている。

 電子契約市場は急速に拡大し、契約のスタンダードとなってくる可能性が大きい。事務機メーカーでは電子契約を促進して企業のDX化を支援する。