2021.03.04 【業務用無線特集】 「簡易無線局」の伸び、他を圧倒
無線局が増えている。最も局数が多いのが「陸上移動局」に分類された携帯電話で無線局全体の99%弱を占める。ほかは「基地局」「簡易無線局」「アマチュア無線局」の局数が多い(グラフ)。
警察無線や消防無線のように特定利用に分類されていない、一般業務の無線通信に使える「業務用無線」を別表にまとめている。
業務用無線には、「特定小電力無線」「簡易無線」「小エリア通信システム」「一般業務用無線」「MCA無線」の5種類があり、それぞれ使用する周波数や通信方式、機器の価格、電波の到達範囲は異なる。
新たに開発された新業務用無線方式の「IP無線(IPトランシーバ)」は後述する。
■増える簡易無線局
グラフが示しているように、簡易無線局の伸びは他を圧している。
従来使われていたアナログ無線通信方式からデジタル方式への移行期限となる22年11月30日が迫ってきているが、デジタル化率はほぼ半分。駆け込みの大需要が期待されている。IP通信や衛星無線用機種も開発され、簡易無線局を含む業務用無線機の評価は高くなっており、需要は拡大している。
■無線通信への信頼度高まる
超大型台風や豪雨、豪雪、竜巻、地震、噴火など〝かつてない規模〟の自然災害や遭難事故が多発している。
スマートフォンや携帯電話は、緊急事態が起きると通話が増加して回線がパンクすることで、情報ライフラインとしての機能が発揮されなくなってしまう。
無線機は、電源さえ確保できれば、通信網が維持できる。11年の東日本大震災以降、業務用無線機器への関心が高まり需要が伸びていることは、グラフの簡易無線局の伸びが示している。
通信方式も、従来のアナログ方式からデジタル通信方式への移行が進んでおり、より安定した通話や情報伝達が可能だ。音声通話だけでなくデータ通信やネット、電話網との連動も可能になった。
■身近になった無線機
家電量販店でも扱っている特定小電力無線は無免許で、誰でも購入して即使用可能。価格も安く、豊富なオプション機器もあり人気(写真)。簡易無線は出力が5W以下に強化され、高所や上空でも使え、随時使用が可能なレンタルも認可されている。
■IP無線(IPトランシーバ)登場
業務用無線機は、従来独自の無線網を持っており、互いの電波が到達する範囲がサービスエリアだった。
MCA無線のように基地局を介して別エリアとの交信を可能にするものもあるが、IPトランシーバは直接携帯電話網にアクセスして通話ができる。
「無線LAN用トランシーバ」や「IP電話」「放送設備」「特定小電力トランシーバ」との連動もできる。IPトランシーバを活用すると、日本全体規模の無線通信網をピンポイントの業務現場と連動した、斬新な通信インフラ構築が可能になる。
■安心・安全確保に欠かせない業務用無線
ネットワーク社会はネットが不通になるとまひしてしまう。
業務用無線機は、仕事の効率を高め、暮らしをより豊かにする。緊急時には情報ライフラインとして安心・安全確保に役立つ。しっかり販売したい。