2021.03.12 【ルームエアコン特集】コロナ禍で高水準の出荷、より快適・清潔な空間を提供

在宅時間が増え、室内の空気環境に関心を持つユーザーが多く、エアコン販売が好調だ

 コロナ禍の中、空気質への関心が高まることで、ルームエアコンの買い替えが進んでいる。エアコン各社は、ユーザーの空気質への敏感なニーズに対応して、除菌・脱臭など清潔性を高めた機能開発を強力に進める一方、省エネかつ快適な温湿度環境を整えるなど、空調機としての本質性能に磨きをかけた商品戦略で、市場ニーズに対応する。

 ルームエアコンは、今期好調に推移している。コロナ禍で店頭に顧客が足を向けにくい時期もあったりしたが、在宅時間の増加が買い替え促進につながっている。

 21年度に向けた新商品の投入も本格的に始まっており、省エネ、清潔性、快適性などの性能が向上した新商品を中心に、付加価値の高い提案に各社力を入れている。

 ルームエアコンは今期、夏場の商戦ピークを終えて、下期に入ってからも堅調に推移しており、高水準の出荷が続く。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークなど在宅時間が増えたことを機に、室内の快適性、清潔性に目を向けるユーザーも増え、エアコンの買い替え、買い増し需要が顕在化している。

 年末商戦では既に、エアコンが暖房機としての認知も高まっていることから、寒冷地での普及も含め、下期の需要を底上げすることに貢献している。特に今年はコロナ禍による買い替え需要の加速により、この傾向が強まった感がある。

 新型コロナウイルスの収束が見通せない中で、21年度も引き続き空気質への関心は高止まりするとみられ、ルームエアコンの買い替え需要については底堅く推移しそうだ。

 IoT機能の搭載で加湿空気清浄機との連動を図るなど、より快適・清潔空間の提供に向けた使い方提案も進んでいる。

 出荷台数は過去最高のペース

 ルームエアコン市場は20年(暦年)の出荷台数は、過去最高のペースとなった。

 日本冷凍空調工業会のまとめによると、21年1月単月のルームエアコン出荷台数は、前年比12.4%増と大きく伸び、4カ月連続のプラスで推移した。

 20年(暦年)累計は、前年比0.6%増の986万9000台と5年連続の成長で、1972年以降、過去最高の出荷数量を記録、1000万台も間近の数値。

 21年は、さすがにこの実績を上回ることはないだろうとの見方はあるが、それでも年間900万台を超える大きな需要は十分に見込めるというのが、目下の見通しだ。

 買い替え需要がピークを迎えていること、また在宅時間の増加で、リビング以外にも寝室、子ども部屋はじめ各部屋普及が進むとみられること、さらに清潔機能の強化など、ユーザーニーズに応える商品開発が活発であることなど、買い替え需要を顕在化させる要因は多い。

 現在、各社が提案する21年フラグシップモデルでは、快適暖房性能をはじめ、内部クリーン、除菌・脱臭機能搭載、さらには換気性能搭載に至るまで、室内の清潔性向上につながる特徴をしっかり搭載している。

 空気質や清潔に対する意識が高まっているユーザーに対して、クリーン性能を訴求するなど、さらなる買い替え・買い増し需要の顕在化に力を入れる必要がある。

 各社の商品動向

 パナソニックの調べでは、健康な生活のため「空気」について興味・関心を持っているユーザーは9割という。

 新型コロナが収束したとしても、今回のパンデミックの衝撃は大きく、またやがて来る次の新型ウイルス流行への懸念も強く、空気質、清潔への関心はこのまま、多くのユーザーの意識に強くとどまるとみられる。

 こうした中、各社、21年モデルの開発において力を入れたのは、内部クリーン、除菌・脱臭、空清機能の強化や換気機能の搭載などだ。

 また、おうち時間が増えることで、より快適な室内環境の維持と経済性の両立も大きな関心事であり、こうしたニーズに応える各社の商品開発で、22年度も引き続きエアコン商戦は活発な展開が予想される。