2021.03.18 【九州・山口産業特集】長州産業水素燃料電池システム、海外展開に力
岡本 社長
長州産業(山口県山陽小野田市)は、水素燃料電池システムの海外展開に力を入れている。環境対策の一環で水素インフラの導入が活発な中国市場で量産体制を確立させ、部品や材料のコスト削減と品質向上につなげる。
中国で積極展開する背景は、日本はコストなどの要因で水素インフラのニーズが伸び悩んでいることがある。まずは中国市場で価格などの課題を克服し、将来的に日本市場での展開に生かす考えだ。
太陽光発電と水素燃料電池を組み合わせた「ソーラー水素iパワーステーション」(SHiPS)はCO₂を排出せずに水素を生成でき、中国では日本以上に引き合いが多い。22年開催予定の北京冬季五輪に向け、中国政府からの問い合わせもあるという。
本社がある山口県や九州は中国大陸から飛来する黄砂やPM2.5の影響を受けており、岡本晋社長は「中国の環境対策が改善すれば、日本や地元への貢献につながる」と語る。
アメリカでも水素燃料電池システムを展開する。環境政策に力を入れるバイデン新政権の誕生によって、今後の市場展開が加速することを期待している。
日本国内ではバイオマス発電システムのニーズが高まっている。昨年度から進めた商談が実を結び、今年度から本格導入をスタートした。土壌や水質汚染の心配がなく、処理後に残る「成果物」を飼料や堆肥に再利用できるなどの利点から、畜産業における糞尿や生ごみなどの処理方法として注目を集めている。自治体との連携も進んでいる。
太陽光発電事業は、PPA(第三者所有モデル)の訴求で、初期投資のハードルを下げることで事業を拡大している。50年までに温室効果ガスの排出ゼロを目指す政府の方針も追い風になると予想している。
2月の福島県沖地震で最大震度6強が観測されたことに触れ、岡本社長は「太陽光や蓄電池は災害時にも役立つ。BCP(事業継続計画)の観点でもお役立ちできれば」と話した。さらに「カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みに当社は貢献できる。コロナ禍の苦境だからこそ、知恵と工夫で乗り越えていく」と抱負を語った。