2021.05.21 【5Gがくる】ローカル5G簡単解説<42>企業内にローカル5G人財を育成する ⑤

 今、NHK大河ドラマでも話題の渋沢栄一は、彼の主著『論語と算盤』の中で「理論と実際、学問と事業とが互いに並行して発達せないと、国家が真に興隆せぬのである」と熱く説いている。

 「理論」とは机上の学問であり、「実際」とは学んだ学問を社会で実際に行うこと、すなわち実践だ。分かりやすく言えば、研修や読書、ウェブなどで知識を得るだけではダメだということ。また、いくら知識を持っていても、口にするだけで実行しないのもダメだということだ。

 筆者も耳が痛い。渋沢は後進の企業家を育成するために経営哲学を訓じているのだが、「国家」を「事業」に、「興隆」を「持続」に読み替えると、まさに今、コロナ禍の事業持続、ならびに深刻化する少子高齢化による事業持続を危惧する我々の胸にズシンと響くのではないだろうか?

 このクルマの両輪とも言える「理論」と「実際」は、あらゆる現場におけるビジネス変革を推進する「企業内DX(デジタルトランスフォーメーション)人財」の育成においても極めて重要となる。

 例えば、IoTや5G、人工知能(AI)といったデジタル技術の基礎知識を学ぶだけでは、DX人財とは言えない。

 少なくとも、直面する現場のビジネス課題を解決するために、学んだデジタル技術をどのように活用して、ビジネスのプロセスやモデルなどをどのように変革するのか-。

 具体的で明確なユースケースをユーザー側の視点、つまりUX(ユーザーエクスペリエンス=ユーザー体験)視点で示せない限り、DX人財とは言えないということだろう。

効果的に学べる

アフター5、週末などを利用して5Gを通信講座で学ぶ

 そこで、現場を離脱しての集合教育が困難な中小企業や、コロナ禍のテレワークによる教育に頭を悩ます企業でも5Gを効果的に学べる通信講座「ビジネスパーソンのための5G入門講座」(コガク)を紹介したい。

 この講座は〝理論〟を学ぶ「基礎編」と、〝実際〟を学ぶ「実践編」からなる。両編とも、日々の空いた時間やアフター5、週末などを利用して、おおむね1カ月程度で自習できるようにコースデザインされている。

 それぞれ四つの章から構成されているため、一週間に一つの章を終了させる感じだ。さらに章は五つ前後の節に分かれ、一日一節のペースで進めばよい。多忙な経営者や管理職でも十分学習できるだろう。

 「基礎編」は、5Gとは何かから始まり、5Gで利用する電波の周波数とメリット、5Gの優れた特性と支えるテクノロジー、キャリア5GのロードマップとIoTサービスなどを学ぶ。

 「実践編」では、DX(5G×IoT×AI)によるデータ駆動型ビジネス、ローカル5Gによる自営網のデジタル化、ローカル5Gのユースケースと新サービス、課題解決型ローカル5Gビジネスと免許申請などを学ぶ。

基本が身に付く

 理解度確認のための、練習問題と修了テストも付いているため、5Gの基本を確実に身に付けられるはずだ。スマートフォンやタブレットで学習できるeBookもあるという。(つづく)

 〈筆者=モバイルコンピューティング推進コンソーシアム上席顧問・グローバルベンチャー協会理事。国士舘大学非常勤講師・竹井俊文氏〉