2021.06.29 【複合機・プリンターソリューション特集】商業印刷/産業印刷

富士フイルムビジネスイノベーションが新ブランドで発売する「Revoria Press PC1120」

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成長が見込まれるテキスタイル市場成長が見込まれるテキスタイル市場

商業印刷 デジタル化を加速

 複合機メーカー各社は、強みのデジタル技術を生かし、オフセットなどアナログ印刷が主流の商業印刷のデジタル化、産業印刷分野の取り組みを強化している。

 国内の商業印刷の市場規模は約5兆円と大きいが、人手不足などの課題を抱え、昨今はコロナ禍が経営を圧迫している。生産性の向上が喫緊の課題となっており、デジタル化によるDX(デジタルフォーメーション)への期待も高まる。テキスタイルやラベルプリントといった産業印刷市場も今後の成長が見込まれる。

 商業印刷市場のデジタル化比率は、まだ10%程度にとどまる。しかし、2月にオンラインで開催された印刷業界最大の総合イベント「page2021」では「リセット・ザ・フューチャー」が掲げられ、印刷のデジタル化を加速させて新たな成長を目指す動きが見られた。

 こうした流れを受けて複合機各社は、培ってきたデジタル技術を生かし、最新のデジタル印刷機や印刷の前工程から後工程までトータルに印刷業務ができるソリューションを提案。新製品の投入や商業印刷業界のDX化を支援する動きを本格化させている。

 富士ゼロックスからの社名変更と同時に新体制に移行した富士フイルムビジネスイノベーションは、プロダクション関連のブランドとして新たに「Revoria(レヴォリア)」を立ち上げた。

 ハイエンド向けのプロダクションカラープリンター「Revoria Press PC1120」とプロフェッショナルからオフィスまで幅広くオンデマンド・プリント・ビジネスを支えるプロダクションモノクロプリンター「Revoria Press E1」シリーズの2機種9商品を7月20日から、日本を含むアジア・パシフィック地域で順次発売する。

 新ブランドであるRevoriaは、革命・大きな変革を意味する「Revolution」と国や地を意味する接尾辞「-ia」による造語。

 グラフィックコミュニケーションサービス事業本部業務部の大谷隆司部長は「Revoriaブランドをプロダクションプリンター、関連するプリントサーバーから印刷ワークフローソフトウエアまでを含めた、プロダクションプリンティングソリューションとして提供していく」と強調する。

 同社は6月24日~7月9日に、富士フイルムグループが提供する印刷関連の商品やサービス、ソリューションを一堂に集めたオンラインイベント「FUJIFILM Virtual Exhibit 2021」を開催。新ブランドを紹介している。

 印刷工程全体の統合型ワークフローを実現するソフトウエア商品「プロダクション コックピット」も提供している。印刷業務のワークフロー全体の生産性向上にも力を入れていく。

 リコーは、基幹業務印刷システムとして高い生産性を実現する高速インクジェット・プリンティング・システム「RICOH Pro VC40000」を投入。トランザクション市場向けのシステムとして生産性や用紙対応力を強化した。また、業界最速クラスの毎分200枚の高速を実現した「RICOH DD 5650」を発売。大量印刷ニーズに対応している。

 リコージャパンでは、商業印刷事業者のビジネス拡大を図るため、デジタル化の推移による売り上げ拡大や企業価値向上に貢献するビジネスモデルを提案する。

 キヤノンは、プロダクションプリンター「imagePRESS(イメージプレス)」シリーズの旗艦モデル「imagePRESS C10010VP/C9010VP」(2020年10月発売)の新ユニットとして、検品工程を自動化する「インスペクションユニット・A1」と画像調整を自動化する「センシングユニット・A1」を5月下旬に発売。

 販売を担うキヤノンマーケティングジャパンは「検品工程の自動化で印刷物の検査、印刷作業の大幅な省力化を実現する。印刷業界のDX化を支援するため、商品、サービスの充実を図っていく」と説明している。

 コニカミノルタは、デジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオ プレス) C7100」を5月に発売した。ワンランク上のC14000シリーズと同等のオプション装着とワークフローの自動化・効率化・スキルレスを実現。

 自動品質最適化ユニット「インテリジェントクオリティオプティマイザー(IQ-501)」の新機能「1to1印刷(バリアブル印刷)の自動検査機能」も利用可能だ。

 同社は、印刷会社のワークフローを変革し、付加価値ビジネスへの転換を支援するため、デジタル印刷ならではの「省力化、スキルレス、リモート化」を推進していく。

産業印刷 テキスタイルに力

 一方、産業印刷市場では、サイネージや衣料に印刷するテキスタイルなどが成長市場と見られている。エプソンは、事業領域を大判プリンターによるファインアート、写真などのフォト/プルーフ、CAD、屋内外看板、ポスターなどのサイネージ、布へ印刷するテキスタイル(捺染など)、さらに食品・飲料などのラベル印刷分野と捉え、事業強化を図っている。

 リコーは23日、生産工程向け高速印刷ソリューション「RICOH FC-LDA Printer 500」を発売した。

 同社が開発した高速レーザーマーカーとほぼ無色透明なサーマルメディアを組み合わせ、大量生産ラインで高速搬送されているフィルムやラベルなどの包装材に、最大毎分300メートルの速度で、個別に異なる情報を印字できる。必要な情報を必要なときに必要なだけ印刷するオンデマンドプリンティングにより、業務効率の向上に貢献する。今後、箱や袋などさまざまな包装材料に活用していく計画だ。

 OKIデータ、東芝テックなど各社も、市場拡大が期待されるラベル印刷市場を強化している。