2021.07.02 【家電総合特集】日立グローバルライフソリューションズ伊藤芳子常務取締役COOホームソリューション事業部長

コネクテッド家電の展開に力
「スマートストッカー」など訴求

 昨年度は、新型コロナのまん延で在宅時間が増え、家電にとっては追い風となった。当社にとっても主力5製品(冷蔵庫、洗濯機、掃除機、炊飯器、オーブンレンジ)は、2019年度と比べても売り上げは伸びた。

 直近は昨年と同じとはいかないが、想定通りの動き。家電市場全体がそう悪くない状況だ。自宅で過ごす時間は今後も多いはずで、下期も堅調に推移するだろう。

 当社はコネクテッド家電の展開に力を入れている。今年3月には、重量センサーで庫内にある食材の状況が分かる「スマートストッカー」を発売し、コネクテッド家電を広げる製品開発を進めている。

 国内の家電市場は、人口減少の局面で世帯数もフラットであるため、拡大はしない。そうした中で、日立がどういったポジションを狙っていくかが戦略の要だ。超高級ゾーンやデザインを追求するばかりの製品ではなく、日立ブランドとしては、中高級ゾーンを軸にした戦略を重視していく。

 主力5製品では、幅広いラインアップをそろえている。革新的な技術開発にも挑戦していくが、ユーザー視点の技術開発と、その技術をどうしたら顧客に訴求できるかといった点を重視していく。例えば、スマートストッカーは、単なる冷蔵庫とは違い、在庫状況が見えるため「ストッカー」といった方がしっくりくる。どう伝えるかという視点は、これからの製品戦略では大切だ。

 コロナ禍でユーザーへの対応の仕方も変わってきた。4月から7月17日までのトライアルではあるが、当社のホームページ上で、ビデオ通話による掃除機のオンライン相談を受けられるようにしている。どういった製品がいいかなど、さまざまな相談に対応しており、使った方からは好評だ。

 コネクテッド家電から得られるデータをどう活用していくかが今後は重要になる。まだビッグデータというほどデータは集まっていないが、洗濯機であれば、ドラム式のユーザーは縦型のユーザーよりも特定のコースを使う傾向が強いなど、新たなことが見えてくる可能性がある。日立グループとして(IoT基盤)「ルマーダ」を生かして連携を図っていきたい。

 GROOVE X(東京都中央区)との提携による(家族型ロボット)「LOVOT」が、IoTを生かして家庭でのソリューションを当社と作るかもしれない。ビジネスモデルが多様化しており、家電を使ったリカーリングも検討している。

 私は、キャリアの集大成として日本の「モノづくり」に携わりたいと考え、昨年7月に当社に入社したが、それまで家電の経験はなかった。ただ、海外が長く、コンサルティングも経験しているため、一歩引いて見ることはできる。

 家電の経験がない分、離れた視点で意見ができると思っており、新製品を出すことは、チャレンジングでワクワクするものであるべきだと常日頃から話している。