2021.07.02 【家電総合特集】三菱電機平岡利枝執行役員リビング・デジタルメディア副事業本部長
IoT化を軸に相乗効果へ
IEQや生活支援など提供
リビング・デジタルメディア事業本部が管轄する家庭電器部門は昨年度、新型コロナの影響もあって減収減益だったが、計画に対しては売り上げ、利益ともに上回った。業務用は現在も低迷気味だが、巣ごもり需要が続いていることもあり、家電関連は堅調な状況が続いている。
家電では、IoT基盤「リノバ」を生かしたIoT対応を進めている。冷蔵庫の開閉回数を確認できるようにしたり、炊飯器でお米の在庫管理をできるようにしたりと、新しい使い方を提案している。給湯器やバス換気乾燥機などIoT化で既に機器同士が連携している製品もあるが、連携していなくても、生活の変化でどういった機能を便利に使うことができるかなど、アプリケーションを通して説明することもできる。製品を横断して使い方を含めた提案を、IoTを生かして進めることが重要になると考えている。
家電は生活の変化に合わせた機能や情報が必要。例えば冷蔵庫を10年使うとすると、子どもが生まれる、小学校に進学するなど、ライフステージに応じて使われ方や保存する中身などが変わってくる。こうした変化にIoTは対応できる。
家電や住宅設備は安定市場。これまで以上に存在価値を示すことで、より安定的に収益を上げられるようにしていく。これまでは機器単体のイメージが強いが、IoT化を軸に、相乗効果でIEQ(室内環境の質)や生活支援、製品ライフサイクルなどに対するソリューションを提供していく。機器の販売と合わせてソリューション展開を加速することで、収益を高めることを目指す。
ウイルス抑制に効果を発揮する「ヘルスエアー」など、コロナ禍で高まる需要に対応する技術開発も進めており、エアコンやジェットタオルに搭載している。換気の重要性も高まったことから、CO2(二酸化炭素)センサーを搭載した換気扇も開発した。
IEQソリューションは、当社が得意とする空調機器に、照明や換気扇などを組み合わせて提供できる。オフィス環境であれば、その全体を提案。衛生・清潔だけでなく、快適性と生産性が上がるような空間の実現に貢献できる。
これからはサステナビリティー(持続可能性)を意識した企業活動が重要だ。それは製品開発も同じ。環境意識は海外でも高まっている。
IoT化で購入後もバージョンアップができるとなれば、製品寿命の考え方も変わってくる。例えば家電では、新製品が発売され、それを購入することでバージョンアップするのが基本。これからは、使っている家電がIoTでアップデートすることで新機能を実装し、新製品になり得る。
下期は、素材価格の高騰や部品調達リスクなどの不安要素はあるが、コロナ禍で進んだ生活の変化に追随することで、昨年度と同水準の販売は確保していく。そうした中、デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)時代の家電の進化を追求する。