2021.07.09 【家電流通総合特集】Sマーク普及促進に注力SCEA、安心・安全の基準をめざす

主婦連合会との座談会の様子

 電気製品認証協議会(SCEA)は、テレビや洗濯機、冷蔵庫などの家電製品の安全性を担保するSマークの普及促進に力を入れている。海外メーカーの家電品などSマーク認証を取得していない製品も市場で販売される中、第三者機関による安全性の確保を訴求することで、家電流通の現場における製品の差別化につなげることも目指す。

 「国内大手メーカーという安心感だけでなく、Sマークを電気製品の安心・安全の基準にすることを目指す」。SCEAの平井雄二事務局長は、Sマークの方向性についてこう力を込める。

 家電量販店やホームセンター、百貨店などの店頭におけるSマークの普及率は、昨年11月に実施した調査で68.3%。ネット通販大手3社などで販売される製品の平均普及率は56.8%になる。

 SCEAが目指すのは、Sマークの付いた家電製品の安全性が高いことで、付加価値向上の提案にもつなげることだ。コロナ禍となった昨年度は、毎年実施していたイトーヨーカドーなどでの広報イベントを中止。代わりに、Sマークの認知度を調査するウェブアンケートを実施し、約4300件の有効回答を得た。その結果、認知度は25.3%と、これまでの広報イベントを通して取得してきた数値よりも高い実績となった。

 こうした結果を受け、SCEAはオンラインでの取り組みを強化している。昨年度もネット販売事業者を対象に、電気用品安全法とSマーク認証の相違点などを説明するオンラインでの個別セミナーを実施。今年度も別のネット通販事業者に同様のセミナーを開催するなど、Sマークの重要性をアピールしている。

 平井事務局長は「Sマークをうまく活用すれば、雑貨品中心でなく単価の高い電気製品で売り上げアップにつながる可能性もある」と流通側のメリットを強調する。

 例えば、Sマーク認証の取得状況はメーカーや製品によってばらつきはあるが、認証取得製品を一堂に集め、ネット通販内でキャンペーンを展開する--などの販促策に生かせる。家電の安全性に対する意識を高めるこうした取り組みは、流通側にとっても消費者にとっても、アイデアと使い方次第で「両得」になりそうだ。

 また、SCEAはリアルでも消費者への認知度向上に努めている。3月22日には、主婦連合会の有田芳子会長(開催当時)とSCEAの横山明彦会長との座談会を実施。家電を購入する際の消費者の行動や心理などについて共有することで、Sマークの効果的な活用方法などについて意見を交わし合った。動画撮影も行っており、コンテンツは今後、セミナーなどでも活用していく予定だ。

 一方で、近年話題となってきたのが、さまざまな機器のIoT化だ。クラウド環境に接続することでますます便利な機能を付加しつつあり、ルームエアコンをはじめ、家電製品の多くがスマートフォンなどから遠隔操作できるようになってきた。しかしながら、遠隔操作ならではの安全上のリスクも指摘されている。

 こうした状況を受け、経済産業省は4月末、家電のIoT化に対する安全性についてガイドラインを発表。ネット環境への接続で、通信回線から何らかの影響を受けて、製品の重大事故などに陥ることを、回避することを安全確保の基本とした。IoT家電はセキュリティー問題に加え、購入後にソフトウエアをアップデートすることもあり、ネットワークにつながることで、さまざまな間接リスクにもさらされ得る。

 IoT時代を迎え、Sマークもこうした新しい動きへの対応を求められつつあり、時代に合わせて安全性の第三者評価のレベルアップをしていく構えだ。