2021.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】東芝情報システム 渡邉一正社長

渡邉 社長

エンベデッド事業で自動車の電動化対応を強化

 ICTの市場環境は、コロナ禍や半導体不足の影響を受けて厳しい状況である一方、デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)によるビジネスチャンスも出てきている。

 当社はエンベデッド事業、LSI事業、SI事業の3事業を中心に事業展開している。2021年度上期の業績は、コロナ禍の影響がまだ続いており、計画値に対しては厳しい状況だ。

 エンベデッド事業は、売上高のほぼ半分を占める自動車関連市場が厳しく、その影響を受けている。過去、2桁成長を続けてきたが、コロナ禍の影響を受け、20年以降は横ばいで推移している。自動車関連は、半導体不足に加え、コロナ禍の拡大で部品調達面でも影響が出ている。

 また、ガソリン車から電動車への切り替えも急速に進む。運転支援システム(ADAS)、自動運転など当社の強みを発揮できる分野に加え、技術陣など電動化への対応を強めていく。

 エンベデッドソリューションでは、920メガヘルツ帯メッシュネットワークとクラウドを組み合わせた温度監視システムが好評で、スーパーをはじめ、倉庫を全国規模で展開する企業などへの導入を進めている。また、監視カメラで培った画像認識技術の応用範囲の拡大を図っている。

 LSI事業は、5Gを活用したLSI設計、NAND型メモリー、CMOSセンサー関連のLSI設計が好調なことから、ほぼ事業計画通りに推移している。

 SI事業は、コロナ禍で企業の情報投資抑制の影響を受けてきたが、21年度に入って回復傾向にある。当社は、海外パッケージを日本のお客さまに向けてカスタマイズし提供している。

 東芝グループの全社変革計画「東芝Nextプラン」の一環で、10月1日付でグループの組込みソリューション事業が当社に集約され、当社のSI事業は、同日付で発足する東芝デジタルエンジニアリングに移管する。

 当社は組込み事業、LSI事業に特化するとともに、新会社とも連携してシナジーを出していく。