2021.09.14 【コンデンサー特集】神栄フィルムコンデンサー
新規開発大容量ポリプロピレンフィルムコンデンサー
長野工場を見える化、「IATF16949」取得
神栄は、子会社神栄キャパシタ(神戸市中央区)でフィルムコンデンサー事業を展開している。
1965年に世界で初めて高周波・大電流で高耐熱を実現したポリプロピレン(PP)フィルムコンデンサーを開発して以来、映像、照明、音響、電源、調理家電、パワーエレクトロニクスの各市場の需要に対応。小型化や高性能化、インバーター化にも積極的に応え、高周波、大容量、高耐熱のPPフィルムコンデンサーを開発、供給してきた。
数年前からは、成長分野の産業機器、車載に軸足を移し始め、高付加価値製品の供給に注力する。産業機器向けは、ロボットや製造設備、受電設備のインバーター用、サーボモーター用などで採用が進む。車載向けは自動車産業品質マネジメントシステム国際規格「IATF16949」認証取得に向けて体制を整備。7月8日付でフィルムコンデンサーの基幹工場、神栄キャパシタ長野工場(長野県東御市)が「IATF16949:2016」認証を取得した。
これまで電源回路用で培った技術、ノウハウを生かし、電子化が進み、小型、高性能化、高耐熱性、耐振動性が求められる車載向け需要に応える。特に急成長が見込まれるEV、PHVの環境対応車の給電ステーション向け、充電器オンボードチャージャー向けやDC-DCコンバーター用フィルムコンデンサーの開発、生産、供給に本格的に乗り出す。
また、IATF16949認証取得とともに、フィルムコンデンサーの生産性向上に力を入れている。既に長野工場で素子の巻き取り工程に画像センサーを取り付け、素子工程の見える化を図り、さらなる生産性向上に取り組む。
高耐圧品、大容量品に加え、車載向けは長野工場で、量産品は現地子会社のマレーシア工場(ジョホールバル)と、すみ分けを図る。
一方、過去に民生分野で高いシェアを有していたことから、マレーシア工場の高耐圧用フィルムコンデンサーの製造設備能力は現時点でも高いレベルを維持しているため、今後拡大する車載分野向け需要に十分応えることが可能で、将来のマレーシア工場での車載向けフィルムコンデンサーの量産につないでいく計画だ。
5月に発表した新中期3カ年経営計画「神栄チャレンジプロジェクト2023」においても、食品関連、物資関連、繊維関連とともに、電子関連でも早期に収益基盤を確立・安定化することで収益を拡大。バランスの取れた事業ポートフォリオの構築を進める。
電子関連事業は、高い技術力と品質力を強みに高付加価値製品・サービスを提供することを基本に、コンデンサー分野は新規分野への深耕で収益の安定化を目指す。
新たなセンシング市場への進出による事業規模の拡大を図るセンサー機器分野、成長市場への参入による事業基盤の安定化を進める計測・試験機器分野とともに、新中期経営計画をけん引する。