2021.09.14 【コンデンサー特集】松尾電機タンタルコンデンサー

チップタンタルコンデンサー267型

車載ECU向け需要増加で3216品を増産へ

 松尾電機は、基盤事業のタンタルコンデンサーで車載ECU向け、小型情報端末向け、補聴器向けのうち、需要が増大している車載ECU向けのチップ品の増産体制を整備。導電性高分子タンタルコンデンサーの超低ESR品の量産技術開発を2021年度中に完了する。フィルムコンデンサーは、過酷な条件下で使用される車載向けなど高い技術力が求められる需要に応える。

 タンタルコンデンサーは、チップ品を生産する福知山工場(京都府福知山市)の3216サイズ品の生産能力を、22年10月以降に21年度上期比5割程度引き上げる予定である。設備改造と増員を進め、20年10月から続くフル生産下での増産を図る。

 世界的な6大メーカーのうち4社に納入している補聴器向け下面電極構造品のほか、電子棚札やGPSトラッカーなどの小型情報端末機器向け、車載ECU向け3216サイズ品の供給体制を強化。増大する車載ECU向け、火災警報器向け需要に対応する設備能力を備えた3528サイズ品と合わせて活発なチップタンタルコンデンサー需要に応える。

 チップタンタルコンデンサーは、過電流保護用リチウムイオン電池向けや車載向けで採用が進む回路保護素子とともに、自動車産業品質マネジメントシステム国際規格IATF16949:2016認証を取得している。

 鉄道や信号機などの高信頼性市場へ販売しているリード形タンタルコンデンサーは、本社工場(大阪府豊中市)で生産。長寿命、広温度範囲で安定した電気特性を有する。

 導電性高分子タンタルコンデンサーは、パソコン(PC)CPU周りで要望のある低ESR品として、従来構造品の3528サイズ(静電容量150~220μF)で25mΩの低ESR品の開発を21年度中に完了する。

 従来構造品は、3216、3528、6032、7343の4サイズのチップ品を取りそろえ、PCCPU周り、USB電源部などに供給。下面電極構造品は1005、1608、2012、3216の4サイズをそろえ、小型情報端末機器や補聴器などの小型需要にも対応。下面電極構造2012と3216サイズ品は、製品高さ1.2ミリメートルmax品のほか、1.0ミリメートルmaxの低背品をラインアップ。カスタム対応で1.3ミリメートルmax品も供給する。いずれも福知山工場で生産。

 フィルムコンデンサーは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムの各種フィルムコンデンサーをシリーズ化。用途に応じてさまざまな特長を持たせることができる。特に過酷な条件で使われる車載向けで採用されている。島根工場(島根県出雲市)で生産している。

 同社は、1957年にフィルムコンデンサー、59年にタンタルコンデンサーを、それぞれ日本で初めて製造、販売。技術立社を掲げ「品質第一」の社是のもと、信頼の技術を通して時代のニーズに応えている。