2021.09.22 【関西エレクトロニクス産業特集】コロナ禍から回復・再生の道筋見える ニューノーマルへの体制構築、景況感が大幅に改善へ

大阪・関西万博の開催が関西経済復活の原動力となる(大阪・関西万博会場の鳥瞰〈ちょうかん〉図。提供=2025年日本国際博覧会協会)

大阪・関西万博の大阪府市パビリオンの外観イメージ図大阪・関西万博の大阪府市パビリオンの外観イメージ図

 関西地区のエレクトロニクス業界各社は、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化によって業績・雇用に影響が出たものの、コロナ禍への対策も次第に徹底され、昨年度に比べると影響の度合いは低下。むしろテレワーク推進をはじめ、ニューノーマルに対応した体制の構築、新ビジネスの展開などで回復・再生への道筋が見えてきた。

 新型コロナ第4波、第5波に伴う緊急事態宣言の発令などがあり、いまだ不透明な状況が続く中、各社はニューノーマル時代に見合ったビジネススタイルを模索しつつ、成長戦略に力を入れる。

 関西経済連合会がまとめたアンケート調査(新型コロナウイルス感染症拡大の影響など、6~7月実施)によると、2020年末時点の調査(20年11~12月実施)と比べると状況は改善した。

 昨年末の調査では、業績への影響について「落ち込んだ/落ち込む」と答えたのが約7割だったのに対し、今回調査では21年度業績への影響が「落ち込んだ/落ち込む」は約2割と大幅に減少。

 ただ、21年度業績への影響については、半数の企業が「どちらともいえない」と回答しており、先行きは不透明だ。

 一方、昨年末の調査では「上向いた/上向く」との回答は2.6%にすぎなかったが、今回調査では15.7%へと拡大し、明るい兆しも見えている。

 また、財務省近畿財務局の法人企業景気予測調査(令和3年7~9月期調査)によると、企業の景況判断指数は全産業において4~6月期調査と比べて9.8ポイント改善し、マイナス5.2となった。10~12月期はプラス3.9になる見通しだ。

 製造業と非製造業での景況感には若干開きがあり、製造業は前期比5.7ポイント改善してマイナス3.3ポイント、非製造業は同12.8ポイント改善してマイナス6.6ポイントとなった。

 10~12月期の見通しは製造業がプラス7.3ポイント、非製造業がプラス1.5ポイントと、いずれもプラスに転じる。

 このうち電気機械は、4~6月期調査のマイナス3.8ポイントから今回はプラス24.5ポイントへと景況観が大幅に改善。半導体需要や巣ごもり需要の好調を反映し、製造業全体の景況感改善をけん引した。

 また、全産業において21年度は前期比2.4%の増収、経常利益で同8.8%の増益を見込むなど、回復傾向がうかがえる。

 依然不透明な状況は続くとみられるものの、関西では25年に大きなイベントが控えている。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした大阪・関西万博だ。

 来場者数2800万人、150カ国・25国際機関の参加目標、経済波及効果2兆円が見込まれるビッグイベントであり、開催に伴い港湾、鉄道、道路といったインフラ整備に膨大な投資が予定されている。大阪・関西万博の開催が、今後、関西経済再生の原動力の一つになることは間違いない。

 関西でも新型コロナワクチンの接種が着々と進む。コロナを乗り越え、下期以降は成長に向けてかじを切ることになりそうだ。

新ビジネスモデル構築など成長戦略

セットメーカー

 関西地区のセットメーカー各社では、長期化するコロナ禍にしっかり対応しながら、ニューノーマル時代に合わせた新規事業の創出や新しいビジネスモデルの構築を図り、成長戦略の加速に力を入れていく。

 パナソニックでは、〝専鋭化〟による競争力強化のため、来年から新体制をスタートさせる。まず2年間、全事業で集中するとともに、カーボンニュートラルに向け、2030年に全事業会社でCO22排出ゼロ化実現に挑戦するなど、環境配慮と事業成長の両立を目指す。

 シャープも、8K、5G、AIoT、プラズマクラスターといったコア技術をベースに、ヘルスケア(健康・医療・介護)事業をはじめ新事業の創出を加速する。

 ダイキン工業では戦略経営計画「FUSION25」を策定。成長戦略としてカーボンニュートラルへの挑戦、ソリューション事業の推進、空気価値の創造を掲げ、サステナブル社会への貢献とグループ成長の実現に取り組んでいく。

量販店、商業施設など出店めだつ

家電流通

 今期の家電量販各社の近畿の大型設備投資は、1万平方メートルを超える案件はないものの、新しいショッピングモールへの出店や2000~3000平方メートル級の単独店の開店が目立つ。

 上新電機は大店立地法の届け出を8月時点で、近畿管内で1件行っており、(仮称)ジョーシン新高石店(大阪府高石市)を11月19日に開店予定。店舗面積は2648平方メートル。

 11月にはセブン&アイ・ホールディングスが、売場面積約4万5000平方メートルの複合施設「セブンパーク天美」(同松原市)をオープンする。店舗数は約200店で、上新電機も出店する。

 ヤマダデンキは、(仮称)羽曳野市西浦複合商業施設計画(同羽曳野市)にヤマダデンキを出店する。商業施設のオープン予定日は11月26日。合計の店舗面積は6302平方メートル。

 関西ケーズデンキは大店立地法の届け出を8月時点で1件、近畿管内で行っている。(仮称)ケーズデンキ東住吉中野店を大阪市東住吉区に開店予定。開店予定日は22年3月22日。店舗面積は2095平方メートル。このほか、(仮称)クロスモール須磨(神戸市須磨区)に出店を予定。開業日は22年3月21日。店舗面積の合計は3950平方メートル。

21年度各社業績、概ね好調に推移

電子デバイス、電子材料、産機、情報通信

 関西の電子デバイス、電子材料、産機、情報通信のメーカー各社の業績は21年度、おおむね好調に推移している。新型コロナ感染症拡大の影響を大きく受けて業績が落ち込んだ前年の市況から一転。新型コロナ対策の巣ごもり需要や市況が回復した自動車、設備投資の需要が伸長した。

 ハイエンドスマートフォンに代表される機器の高機能化、高性能化需要にも支えられ、多くの企業が期初計画を上振れる好業績となっている。

 10年先の在りたい姿、あるべき姿に向けた3カ年、5カ年の中長期経営計画の発表も相次ぐ。コア事業の強化、事業ポートフォリオの拡大、新規事業の立ち上げに向けて戦略的投資を打ち出す。

 半導体不足に引っ張られ、ユーザーの部材・部品確保のための先行発注増による受注の急増で、工場では生産に追われる状況も見られる。新工場稼働や新生産ラインの立ち上げで生産能力増強に取り組むものの、部品、部材、人手が間に合わず、半導体製造装置のように発注から納品まで1年半、2年というものまである。

 計画通り生産能力を増強できるかが大きな課題になっている。とはいえ、後半に入っても大きな市況の変化はなく、年内、年度内は今の景況感が続くと予想するところが多い。