2021.09.28 日本発の技術で医療現場に新たな「光」医療照明と電子部品大手がタッグ
開発された天井照明
「ドクターX」のような医療ドラマで印象的な手術室のライト。こうこうと患者を照らし出す照明は、影のできない「無影灯」といわれる特殊なもの。この分野のトップメーカー、山田医療照明(東京都千代田区)と、ミネベアミツミが協力し、新しい照明を売り出した。簡単操作で光をコントロールでき、救命などをサポートする「スマート」照明。東南アジアなど海外市場での販売も目指す。日本発の技術で、医療現場に新たな「光」を当てる。
山田医療照明は医療機関向けの無影灯で、国内市場の半分ほどを占めている。ドクターXにも、その製品が登場する。スムーズに動く天井照明の開発を考える中で、そうした技術を持つミネベアミツミと出会い、共同で開発を進めてきた。
発売したのは、天井埋め込み型のLED照明。ミネベアミツミが製造するスマート照明を採用している。スマートフォンもリモコンとして活用でき、光の量や位置を、簡単に調節できるのが特長。2台の光を1カ所に集めることもでき、影を最小限に抑えられる。医療機器が誤作動しないよう、ノイズ対策なども施した。
同社はこれまでも、外部との連携を積極的に進めてきた。例えば、家電のバルミューダと組み、子ども向けデスクライトを発表。手元が広く照らせて影ができず、視力低下を防ぐと期待される製品だ。
同社は紫LED光源を業界でいち早く採用してもいる。これも、医療現場でハロゲン灯からLEDへの置き換えが進む中で、「普通のLEDでは、目が疲れる気がする」といった声に対応したものだった。業界でほぼ唯一の存在という。
また、照明のトータルコーディネートも手掛ける。手術室では、患者が入退室する際は緊張感を緩和するよう暖色に。手術中はベースとなる照明と無影灯の光を同じにそろえ、執刀医やスタッフの目の疲労を軽減する、といった具合だ。こうした技術も、電機業界の他社と連携する中で開発してきた。
ミネベアミツミの技術との連携では今後、多数の照明から集光できるようにしたり、器具類を自動的に照明が追いかける(追従)機能を追加したり、といったことも考えられるという。
(詳細は29日付電波新聞・電波新聞デジタルに掲載します。)