2021.09.29 【ASEAN特集】イリソ電子工業イリソ・エレクトロニクス・フィリピン

フィリピン工場の外観

満田 MD満田 MD

従業員1人当たり生産量を増大

 イリソ電子工業は、ASEANではフィリピンとベトナムに工場を展開する。

 フィリピン工場「イリソ・エレクトロニクス・フィリピン」は1996年に操業開始。15年には新工場棟を増設し、稼働させた。車載製品を主力に生産を行い、プレス、成形、組み立てのコネクター一貫生産工場として体制を増強している。1万451平方メートルの敷地に建屋延べ床面積9360平方メートル。従業員数約660人。

 フィリピンの豊富な労働力を生かし、手動ラインを多用しながら多品種・少量生産を行う。カスタマイズ品の比率も高い。最近は全自動機によるインサート成形工程での車載カメラモジュール用コネクターの生産が大きく拡大している。

 同工場の満田礼秀MD(マネージングダイレクター)は「工場生産高は年々増加している。用途別では車載が86%程度を占める。20年度は新型コロナによる自動車市場の冷え込みで生産が低迷したが、21年度は前期比2割増以上のペースで生産が増加しており、通期で過去最高となる見通し」と展望を示す。

 同工場は、ロボットによる自動生産ラインで車載用インサートコネクターを生産し、成形サイクルの一定化を実現した。設計技術者の養成や、CAD/CAM一貫生産体制の確立にも力を入れる。

 また、新型コロナ感染拡大に備えたBCPの一環として、従業員を厚めに確保するようにしている。「クラスターや多くの濃厚接触者が発生した際でもリカバリーできる体制を整えている」(満田MD)。

 今後の取り組みについて、満田MDは「今後も生産性向上を図り、従業員1人当たりの生産量を増大させていく。不良ゼロ化も推進する。手動ラインでも、連続生産を行う工程は自動ラインへの切り替えを19年までに実施した。残る手動ラインは多品種・少量を生産するラインが多いが、これらを改善活動によって効率を上げていく」と話す。

 今年は大型成形機の増設および成形品の自動外観検査機導入も実施した。