2021.09.29 【ASEAN特集】菱電商事菱商テクノシンガポール
辻 MD
日系顧客に半導体・電子デバイスを提供
菱電商事は、FA、冷熱、ネットワーク、ビル、エレクトロニクス、スマートアグリ、ヘルスケア事業を柱とするエレクトロニクス商社。グローバル視点の「ソリューションプロバイダー」を掲げ、事業の拡大を図っている。
海外事業の中でASEANには半導体・デバイスを中心とした菱商テクノシンガポール、FA、冷熱、半導体・デバイスを主力とする菱商(タイ)、ホームエレベーターが主体の菱商ベトナム(ホーチミン)の3現地販社を設ける。
シンガポールはアジアのデジタルハブとして成長してきており、アジアの流通ハブとしてコネクティビティーに優れた拠点に位置付けられる。
菱商テクノシンガポールは1990年4月、菱電商事の海外第1号現地法人として設立された。主に、ASEAN地域で事業を展開する日系顧客に対し、半導体・電子デバイスを中心にサプライチェーンの構築と供給を行っている。現在、日本人2人を含む14人の人員を擁する。
菱商テクノシンガポールの責任者である辻真人MDは「シンガポールもコロナ禍にある。感染者数も増減を繰り返し、ロックダウンに近い規制が行われてきた。ビジネスはリモートが中心になっている。政府はワクチン接種を促進し、ウィズコロナの政策を進めている。シンガポールは観光業が盛んだが、コロナで低迷している。また、シンガポールでは主に半導体・デバイスが主力事業だが、昨年末ごろから半導体不足が顕著になり、汎用(はんよう)からマイコンなど半導体が全体的にひっ迫した状況になっている。中には来年先までの受注をいただいている日系企業もある」と話す。
同社の半導体の顧客はマレーシア、インドネシアが中心で、車載、家電、産業機器など多岐にわたる。
菱商テクノシンガポールにはエンジニアリング機能も備えていることから、ASEAN全域の顧客のエンジニアリングサポートを行っている。
辻MDは「日本側と戦略を共有しながら進めている。半導体不足に加えて、コロナ禍で生産をストップする製造業顧客もあるが、今年度の売り上げは計画通りに進むと見ている」と予測。
菱電商事のグローバルネットワークを活用しつつ、地域に根差しながら顧客に寄り添ったビジネスの拡充を目指す。