2021.11.02 【ケーブルテレビ特集】ケーブルラボ5大プロジェクトに重点

 日本ケーブルラボは、ケーブル業界が求められる重要な技術として、「次世代サービス」「人工知能(AI)応用」「5G・ワイヤレス」「マイグレーション」「イノベーション」という5大プロジェクトを重点技術課題として取り組んでいる。

IP放送・IP配信 品質にフォーカス

 重要テーマとして、IP放送・IP配信については、ケーブル業界の強みのコンテンツ(特にコミch)やネットワークを活用し、サービスの魅力化や差別化を事業者へ提言し、事業者のIP化を推進する。今年度はケーブル網を生かしたテレビ向けIP配信の品質にフォーカスし、ガイドラインを策定。最終的には2030年以降をALL IP化とし、23~25年で新たなIP配信サービスが開始できるよう、その要素技術を確立するとした。

 光アクセス高度化については、多重・多様な機器がネットワークに接続される中、増大する接続端末の管理、ネットワーク構成、設定変更における低コスト化を実現するために柔軟な対応が必要となる。近年、汎用(はんよう)機器の使用やソフトウエアの制御による仮想化技術が注目され、今回光アクセスネットワークとしてPONの仮想化技術に関する調査を実施。PON仮想化により、汎用装置にソフト機能を実装した装置やスモールスタートが可能なことで導入コスト削減や、装置を抽象化することで、ベンダー装置を意識しない統一的な管理が可能などで運用コスト削減、スライスにより低遅延・大容量・多数接続などの要件にあったさまざまなサービスが提供可能となる。

 ACSデータ利活用については、STBで収集されたチャンネル視聴履歴や録画リスト、操作履歴などの視聴ログはSTBが所属するACSサーバーに定期的に送信されるが、ACSは業界ACSのほかに複数のベンダーが存在し、視聴データフォーマットが異なる仕様となっている。

 ラボはACSデータ統合プラットフォームの実用化に向けて、データ管理システム(DMP)のラボ運用仕様やDMPにデータ分析機能を加えたシステム(BDP)のラボ運用仕様を策定。これらの多重・多様な視聴データをETL(抽出→変換→格納)により、一つのデータフォーマットに整形・統合するデータ管理基盤(DMP)を昨年度にPoCで試作・検証し、異なるACSの視聴データが統合され、一元的に可視化できることを分析ツール上で確認できたとした。