2021.12.15 エッチングで革新的コネクター開発UPT、セミコンジャパンで日本初公開

導電性シート「UHSS」にLEDを1700個はんだ付け。表面だけだが、裏面にも取り付け導通することが可能だ

 電子機器の接続など、あらゆるシーンで活躍する電子部品のコネクター。この市場に革新を起こそうとエッチング技術で挑んでいるのが、ユナイテッド・プレシジョン・テクノロジーズ(UPT、東京都新宿区)だ。

 東京・有明の東京ビッグサイトで15日に開幕した半導体関連の国際展示会「セミコンジャパン」。UPTは、その会場の一角で、これまでと全く異なる技術アプローチで開発したコネクターを展示している。

「他社に2年は先行」

 「10年先でも使える技術。他社に2年は先行した」。そう自信を見せるのは、技術トップの大澤巧開発本部長だ。

 UPTは、薬品による金属の化学反応や腐食作用を利用し、金属を精密に加工するエッチング技術を得意としている。これまでは受託加工を事業の中心としてきたが、半導体テストという最先端領域に「MMS(マイクロ・メタル・ソケット)」というコネクターを開発し、市場を切り開こうとしている。

 電子機器に搭載されている基板には、さまざまな電子部品が実装されているが、それらを動かすには電気を通さなければならない。5G(第5世代移動通信規格)時代となり、そうした電子基板も小型化・軽量化が一層進展している。当然、コネクターにも技術進化への対応が求められる。

 現在のコネクターについて、大澤本部長は「既存技術を組み合わせて時間をかけて進化させてきたが、それも限界に来ている」と指摘。そのため、「(エッチングという)全く違うアプローチを取ることで、革新的なコネクターを開発した」と強調する。

 MMSの極小コネクター同士の間隔は0.15ミリメートルで、世界最小ピッチ。通常コネクターには、接触するピンと機械的にこするような「ワイピング」という動作が必要で、その動作幅が0.1~0.2ミリメートルという。これがあるために、既存技術では狭ピッチ化が難しいとも指摘する。

 MMSは世界最小ピッチだけでなく、このワイピングも不要にしている。ただ、革新的な半面、実績を作るのはこれからだ。

 「リスクだらけの中でやっている」。大澤本部長は言う。現在は最先端の半導体テスト領域で提案しているが、今後はよりボリュームゾーンに落とし込む狙いもある。

 MMSは今回のセミコンジャパンで日本初公開の部品。導電性シート「UHSS(ユニオン・ハイスピード・シート)」など、エッチングを生かした他社にない部品も提案しており、これから「攻め」の営業をかけていく構えだ。